「間色」(育緒プロデュース)

「間色」(育緒プロデュース)
斎藤 綾
2020/09/30 ~ 2020/10/04
NADAR

写真家・育緒のもとでフィルム写真を学ぶ斎藤綾の初めての個展。
日常から置き去りにされるいくつもの場面へのオマージュを込めた作品を展示する。

 
– 作家より

淡々とした日々の中で連なる感情の糸は、身近な対象を撮る中で見えてきました。
育緒先生のフィルム写真ゼミでの対話で見出され、組写真とすることで、自分の中の写真の対象に気づきました。

被写体は、私の身の回りの非常にピンポイントのものですが、誰の中にもある、愛着や思いを入れる気持ちに響くことがあれば嬉しいです。

 
– 本展をプロデュースする写真家・育緒より

春になると必ず、どうしたら人と違う感じで桜を撮れるんでしょうかと聞かれる。
名所の共有物として咲く花にカメラを向けている限り、人と違う花は写らない。テクニックも機材の質も関係ない。思いめぐらせてみれば、近所にある地味な桜こそが、自分に季節を運んで来てくれる存在ではないのか。

帰り道の角にあり、通り過ぎながら見るだけの桜。
斎藤綾さんはそれを置き去りにせずじっと見つめ、撮っていた。ハッとする世界観だ。彼女は物や人自体を写すのではなく、物と物、人と人の間にある無の空間に色を差していくような撮り方をする。フィルムでしか引き出せない深みにも手が届いている。

この『間色』というタイトルは、その独特な空間に目を向けてもらうために私がひねり出した造語なので、辞書にはないと思う。読み方は、かんしょく。