久保田良治 写真展「A Door of Hope」

久保田良治 写真展「A Door of Hope」
久保田 良治
2021/07/01 ~ 2021/07/12
リコーイメージングスクエア大阪

カナダにある路上生活者向けの滞在施設「シェルター」で過ごした、8ヶ月間を記録した作品です。撮影には主にコンパクトデジタルカメラのGR IIを使い、 バライタ印画紙によるデジタルモノクロプリント32点で構成。併せて展示作品の販売も行います。

※本写真展は、2021年2月にリコーイメージングスクエア東京ギャラリーAで開催した写真展の巡回展となります。

 


 

この作品は、僕が路上で出会った人々から学びながら、人間が「生きる」ことの意味を発見していく、その過程を記録したものです。2018年、僕は写真の仕事を探すため、 片道の航空券とわずかな資金を持って、カナダに渡りました。しかし、写真に関する経歴がほとんどない外国人にとって、仕事を見つけるのは簡単なことではありませんでした。 そのまま帰国せずにシェルターに入ったのは、そこまでしてでも写真の仕事をしたいという、強い覚悟があったからです。

シェルターは、何らかの理由で家を失った人のための一時滞在施設で、夜寝る場所や食事が無料で提供されます。一方で、盗難や喧嘩は日常茶飯事で、生活する上でも不便なことばかりでした。 しかし、それでも困難を乗り越えられたのは、様々な人達に助けられたからです。明日どうなるかもわからない過酷な環境の中で迷いながら、「自分の道」を歩もうとする人々の 生き様を、僕は目にしました。彼らは僕にとって、友人であり、人生の師でした。この作品を通じて知ってもらいたいのは、そんな仲間たちの、ありのままの姿です。

この作品で僕が目指したのは、彼らと観客とが「出会う」こと、それだけです。そして、そのために必要不可欠だったのが、「プリント」です。なぜなら、素晴らしいプリントには、 観る人の目の前に被写体を「存在」させる、魔法のような力があるからです。そして、それがモノクロであるということには、人間の奥底にある真実を見て欲しいという願いが込められています。 時に色は多くの情報を与えてくれますが、それは逆に、物事の本質を見えづらくしてしまうという側面があるのではないでしょうか。だからこそ僕はあえて、 色が無い「不自由さ」にとどまることにしたのです。そのことによって何が見えてくるのかは、実際にプリントの前に立って、感じていただければと思っています。 この展示が観る人にとって、彼らとの素晴らしい「出会い」になれば、僕にとってそれ以上の喜びはありません。