石井陽子展「Shadows in Suburbia」

石井 陽子
2022/06/07 ~ 2022/06/25
IG Photo Gallery
IG Photo Galleryでは2022年6月7日(火)より石井陽子展「Shadows in Suburbia」を開催いたします。
石井陽子は2015年に写真集『しかしか』(リトルモア)を刊行し写真家としての活動を開始。「鹿写真家」として、鹿をモティーフにした作品を制作し、国内外で作品を発表してきました。
石井にとって「鹿」は実在の動物である「鹿」にとどまりません。古くから人間との関わりが深く、祭礼や神話、伝説の中に登場する表象としての「鹿」までを視野に入れ、作品を制作してきました。
デビュー作の『しかしか』は奈良、宮島を闊歩する鹿の姿を活写した作品ですが、人間の姿は見当たらず、人間が消えた世界を鹿が謳歌しているかのようにも見えます。石井は『しかしか』の撮影にあたって、対象に関与することなく撮影しているため、写っているのはまぎれもない「事実」ですが、どこか虚構の世界めいているのはそのためです。2016年の個展「境界線を越えて」(銀座ニコンサロン)では『しかしか』と世界観を共有しつつも、よりフィクショナルな展示空間をつくりだし、2019年の個展「鹿の惑星」(KKAG)で、一連のシリーズの底流に流れていた石井のSF的な想像力が発揮されました。
今回、IG Photo Galleryで展示する「Shadows in Suburbia」は、『しかしか』から「境界線を越えて」「鹿の惑星」へという流れから分岐した、新たな作品です。
東京郊外。集合住宅が建ち並び、日中は出歩く人もまばらなベッドタウン。平穏で安全安心なこの街は、夜になると別の顔を見せます。鹿のシルエットが現れ、鹿の角が路上に姿を見せるのです。
石井はこの作品についてこう述べています。
「かつて「シシ」を狩り、「鹿卜(ろくぼく)」で吉凶を占っていた地に夜の帳が下りると、私は密かに野生の痕跡を置く。そして、郊外の地下に眠る古層から、記憶の影を浮かび上がらせようと試みるのだ。」 写真は事実を写しますが、それはあくまでこの世界の断片にすぎません。フレームの内側に隠されているものは何か。フレームの外側にある世界はどのようなものなのか。写真を見ながら、都市に現れる幻の鹿にぜひ想像の翼を広げてみてください。
タカザワケンジ(写真評論家・IG Photo Galleryディレクター)
**安心してご覧いただくため、空気清浄機、手指の消毒薬の設置などの感染対策を行います。
石井陽子展「Shadows in Suburbia」
会期:2022年6月7日(火)~6月25日(土)
11:00~19:00
休廊:日曜日・月曜日・祝日
会場:IG Photo Gallery
詳細情報につきましては、公式サイトの掲載ページをご覧ください。
■トークセッション(無観客)
6月11日(土)18:00~
石井陽子×タカザワケンジ(写真評論家、IG Photo Galleryディレクター)
You Tubeにて、配信いたします。
チャンネル名: IG Photo Gallery