西尾憲一写真展「盲目の写真世界『 記憶というかたち 』」

西尾憲一写真展「盲目の写真世界『 記憶というかたち 』」
西尾 憲一
2022/11/22 ~ 2022/11/27
Jam Photo Gallery

展示内容
全盲の西尾氏は、ガイドに同行してもらい撮影を行います。
撮影スタイルには2通りあり、ひとつはガイドに面白い風景を見つけてもらう「見える人が主導」のスタイル。もうひとつは、予めイメージを決めておきそれに近い被写体や風景をガイドに探してもらう西尾氏が主導のスタイルです。
「撮影するためには、人にいちいち見てもらわないければならないし時間も手間も見えている人の何倍もかかる。」と西尾氏は本音を漏らします。しかしこうも話しています。「イメージに近い写真が撮れた時はもちろん嬉しいが、それ以上に人と一緒に散歩しながら写真を撮るということが私にとってとても楽しい。」
視覚に障害があるからこその撮影スタイルで西尾氏が見ている世界をご覧ください。
写真セレクトと構成、プリントは、Jam Photo Gallery 主宰・鶴巻育子が行っています。

 
作者ステイトメント
遠い昔の記憶の中に今もくっきり残っている風景がある。網膜色素変性症という病気は発症から約10年かけて症状が進みやがて失明するというもので現在も原因も治療法もわからない難病となっている。
私は25歳くらいから目の異変を感じて複数の病院で診察を受けたがどこでも同じ病名を告げられた。ただそのころはまだ視力もあり「いずれは見えなくなる」と言われても信じられず、必ずどこかに治せる方法があるはずだとあちこちの病院や鍼灸、さらに怪しげな占いなどにも行った。しかし目の症状は徐々に悪化してきてふつうに歩くにも困るようになってきたころ、ある人から紹介された眼科にしばらく通院した。何度目かの通院のとき、担当医から別室に呼ばれて次のように告げられた。

「10年後には必ず見えなくなるので、今すぐ視覚障碍者として生きる道を探してください」
「現代医療では治せない病気なので、ここに来るのも時間の無駄です」

心のどこかではわかっていたことだが、ここまではっきり言われたのははじめてだったので大きな衝撃だった。やはり自分は近いうちに失明するのだと実感した。これから自分はどうなってしまうのだろうか、障碍者としてどう生きていけばいいのだろうか…病院を出て帰りの駅の柱にもたれて、そこを行き来する人たちを虚ろな気持ちで眺めていた。あのとき感じていた不安や恐れは今はもうないが、駅の柱にもたれて呆然としていた私、そしてそこをただ流れてゆく不安で空虚な風景は今も記憶の中にくっきり残っている。

 


 

▼写真展概要
西尾憲一写真展
 盲目の写真世界『 記憶というかたち 』

会  期:2022年11月22日(火) ~ 2022年11月27日(日)
開廊時間:12:00-19:00(日曜日は17:00まで)
会  場:Jam Photo Gallery(www.jamphotogallery.com