光が届かぬ片隅で、魂を封じ込めた暗闇の中には誰が呼んでいるような、何かから抜け出したいような、いつしか時が来るために力を潜めている。光に包まれた私にとって、その力が何を求めているのか、わからないけど、光と暗闇が引き裂かれて、「新たな自我」と触れ合う瞬間が訪れた。自分の内から湧き出したその力が、対峙する自我をしがみつく。

この作品は、撮影を通して自分の内側と対話して、鏡の前で自分を見つめ直すような過程です。今まで見たことのない姿は、思ったほど美しくはないかも知れないけど、その鏡に何が映っていても、それは唯一無二の存在だと信じています。見方はそれぞれだけど、あなたには、いま何が見えるのか?

2019年、私は周囲の女性たちを撮り始めた。最初は同性別でも、身体を直視するのが恥ずかしかった。彼女たちが目の前で裸になって、今まで気づかなかった自分のもうひとつの側面を、見てるようなものだった。前回の撮影から1年後、再びカメラを手にして撮影してみると、それまでの羞恥心が消えたことに驚いた。私の知らないうちに、 私自身にも変化が起きていたのだ。
撮影は続く。
そして、その変化はこれからも続くだろう。

 
楊 喩雯「Some one is calling me but nobody is here」
会期：2022年11月22日（火）～ 12月4日（日）
　　　12:00 – 19:00
会場：TOTEM POLE PHOTO GALLERY
　　　月曜休廊
詳細は、公式サイトの掲載ページをご覧ください。