オサム・ジェームス中川×タイラジュン写真展「UNDERFOOT」

オサム・ジェームス中川×タイラジュン写真展「UNDERFOOT」
オサム・ジェームス中川 x タイラジュン
2023/04/15 ~ 2023/05/08
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オサム・ジェームス中川とタイラジュンによる2人展『UNDERFOOT』を開催いたします。

アメリカを拠点にしながら、日本とアメリカという二つの国にまたがる自身のアイデンティティを踏まえ、作品を制作、発表する写真家オサム・ジェームス中川。そして沖縄に生まれ育ち、歴史の上に成り立つ現在の風景を、当事者性と慎重に距離を測りながら見つめる写真家タイラジュン。2人の作家の交流は15年にわたります。2人の作品の中で蓄えられたコンセプトが、アメリカ・沖縄・日本、そして変化する世界の現状の中、本展覧会で交錯します。

 
本展覧会は、Shell Mound / GAMA / FENCEの3つの作品により構成されます。

 
現在も日常的に続く沖縄戦時の不発弾処理。その作業用の塚を写した“Shell Mound”。
不発弾は今も沖縄のいたるところで発見され爆発する可能性を秘めています。突如として日常にあらわれる安全化処理の為の塚は、戦争が今と地続きである現実を突きつけます。

沖縄にある神聖な鍾乳洞を人工の光で超解像度で描き出した“GAMA”。
島に多数ある、石灰岩が侵食されてできた鍾乳洞はガマと呼ばれています。古来、ガマは聖域であると同時に祖霊に触れる場所として、今もなお神聖な場所として祀られています。戦争時には避難壕としても使われ、悲劇的な歴史を持つガマを撮影した本作は、写真には写らない不可視の過去、かつての戦争にまつわる記憶を見るものの内に呼び起こします。

“Fence”は沖縄本土にある米国基地のフェンスに直接感光紙を密着させ、その痕跡をサイアノタイプで印画した作品です。
パワーの象徴のような米軍基地とそれを囲うフェンスに対し、レンズを通して写した写真ではなく、印画紙を直接フェンスに貼り付け露光した実物大の光の痕跡は、より直接的でフィジカルな臨場感を感じさせます。

本展覧会のタイトルである「UNDERFOOT」は、これらのコンテクストの違う3作品を繋げるものでもあり、そしてそれは私たちの現在の足元に繋がっていることを表しています。
沖縄の土地が記憶しているかつての戦争、今も戦争の爪痕として都市に現れる塚、それらの記憶を拒絶するかのように聳え立つ米軍基地のフェンス。現在の沖縄に潜む歴史的時間と、其処此処の、足元にある記憶とこれからの記憶がギャラリーの中で交差し、鑑賞者に新たなイマジネーションを開いていくことを願います。

 


 

オサム・ジェームス中川×タイラジュン写真展「UNDERFOOT」
会期:2023年4月15日(土)〜5月8日(月)
   13:00-19:00(最終日18時まで)
   月火休廊 予約制にてオープン
会場:galleryMain
詳細は、公式サイトの掲載ページをご覧ください。