内倉真一郎『忘却の海』出版記念個展

内倉真一郎『忘却の海』出版記念個展
内倉 真一郎
2023/08/05 ~ 2023/09/09
KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHY

KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHYは、2023年8月5日(土)より内倉真一郎の写真集『忘却の海』(赤々舎刊)の出版を記念し、同シリーズの新作を集めた個展を開催いたします。

内倉真一郎は、宮崎県・延岡市出身の写真家。大阪で写真を学んだ後、街中のストリートスナップやセルフポートレートを発表する形で写真家のキャリアを歩み始め、2009年に父親が立ち上げた写真館を継承してからは、宮崎県を拠点に制作しています。『私の肖像』(2020年、赤々舎刊)へと繋がるポートレート写真で多くの賞を受賞し高く評価された他、拠点とする宮崎県延岡市に打ち棄てられたさまざまな物を撮影した前作〈Collection〉では、第41回キヤノン写真新世紀優秀賞受賞および公益社団法人 日本写真協会/東京都写真美術館主催「東京写真月間2022」国内企画展に選出されています。

本作〈忘却の海〉では、夥しい数のプラスチックや日用品などの残骸が打ち上げられた海辺を、カメラを手に無心に歩き回りながら制作したと内倉は語ります。役目を終えたオブジェクトたちの放つ、得も言われぬようなある種の凄みをカメラを介して表出し、無き物とされたが確かに存在する彼ら(物たち)の声なき声を掬うかのような本作は、スナップ写真からポートレート写真までを作品として昇華させてきた内倉の才能を集約させた真骨頂であるといえます。

人間の営為の痕跡を淡々と俯瞰することで、時間軸を超越した畏怖さえ感じさせる、内倉真一郎 〈忘却の海〉 の渾身の新作群を、是非お見逃しなくご高覧頂けますと幸いです。

 


 

アーティストステートメント

私は宮崎県に住み制作をしている。どこを見渡しても海に囲まれた町だ。行政やボランティアの清掃の手が行き渡った海水浴場には、美しいビーチが続く。しかしそこから少し離れた海には、正反対の世界が広がっている。漂着物や不法投棄物が打ち棄てられて忘れ去られ、誰も立ち入ることさえなくなった、現代社会のありのままの海辺の姿。

ゴミと化した色鮮やかさが虚しいプラスチック、手袋、おもちゃ、魚や鳥などの死骸。遠く離れた場所から時間の波にもまれ、太陽光で干からび新たな姿に変容していくものたち。現世のものとは思えぬ異様な感覚をも想起させる、人間がかつて関わっていた痕跡。

私は夢中で、下ばかり見ながら、一つ一つの残骸を集める。打ち棄てられた物たちは私に語りかけるように感じる。誰かが作り、誰かの手元にあり、波とともに砂浜へ。そして私と出会う。このシリーズは、その最後の在りようを記録したラストポートレートだ。

内倉真一郎

 


 
内倉真一郎『忘却の海』出版記念個展
会期:2023年8月5日(土)~2023年9月9日(土)
会場:KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHY
   水〜金 13:00〜20:00|土 12:00〜19:00 (日・月・火・祝休廊)
   ※夏季休廊:2023年8月16日(水)〜2023年8月19日(土)

主催:カナカワニシアートオフィス合同会社
協力:株式会社赤々舎

 
■トークイベント
日 時:2022年8月5日(土)17:00〜18:00頃
場 所:KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHY
登壇者:今 道子(写真家)× 町口 景(アートディレクター)× 内倉真一郎(写真家)

入場無料/予約不要(先着25名着席)
※満席の場合は、立見や入場制限となる場合があります

詳細は、公式サイトの掲載ページをご覧ください。