歯舞群島、志発島は私の曾祖母と祖父が暮らしていた島である。
昭和20年11月に島から脱出して以降、島に帰ることなく、亡くなった。

祖父について父親から聞いていたことがある。
「親父がばあちゃんのお腹の中にいるときにじいちゃんが海で亡くなって、ばあちゃんが五人の子どもを育てるために北方領土に行ったんだ。ばあちゃんはえらい人だった」

私は祖父から島のことを聞いたことはない。
私の父もまた、島のことは聞いたことがなかったそうだ。

女手ひとつで入善町から志発島に渡り、子供を育てて97歳で亡くなった曾祖母はどんな人だったのか、そしてどんな島だったのか。

私は元島民たちに会いにいくことを決めた。
その人々の記憶はきっと私の曾祖母や祖父の記憶につながる。
記憶の中で祖父にまた会える。

それが私が旅を続ける理由である。

山田淳子 写真展「わたしの100人の祖父母たち」
会期：2023年10月17日（火）～10月22日（日）
　　　13:00~19:00

会場：Gallery Niepce（ギャラリー・ニエプス）
　　　〒160-0004 東京都新宿区四谷4-10-1　メイプル花上2F
　　　https://www.niepce-tokyo.net/