「暗室モノクローム」二人展
早矢仕 裕幸・うたろう
2023/11/08 ~ 2023/11/12
photo gallery pieni onni
早矢仕裕幸とうたろうは2005年春、モノクロームフィルムによるゼラチンシルバープリントプロセスによるモノクローム写真という共通の志向を通して出会いました。
二人の写真は撮影よりも暗室作業に軸足を置いているといっても過言ではありません。展示作品は、フィルムでの撮影、ネガ現像、暗室での引伸ばしを一貫して作家自身の手作業で制作しています。手作業なので、デジタルカメラを使うよりも、時間と手間がかかります。
しかし、時間がかかるからこそ、撮影、現像、引伸ばしのそれぞれの段階で、異なるアプローチから、作品と濃密に向き合うことが出来るのです。
二人はネガにより反転した世界をマクロにまたはミクロに観察し、自らの中で咀嚼し解釈を行い、意味を見出し、心の動きを濃淡で表現します。
それは、21世紀になり、デジタルカメラの普及でネガを扱う個人が少なくなった写真の世界において哲学的な意味を持つ作業です。
視覚的に明暗が反転した世界を見るからこそ、現実の世界は素材に過ぎないと思わせてくれるからです。
展示内容
早矢仕裕幸:13点
うたろう :14点(RC紙8×10インチ2点、バライタ紙10×12インチ3点、9.5×12インチ4点、11×14インチ5点)
「暗室モノクローム」二人展
会 期:2023年11月8日(水)〜11月12日(日)
8日(水)〜10日(金)12:00-18:00
11日(土)11:00-19:00
12日(日)11:00-17:00
在廊日:11日(土)、12日(日)全日
会 場:photo gallery pieni onni
〒500-8178 岐阜市清住町2-4-2 大一グリーンビル1F
TEL 090-9193-3163
https://www.pieni-onni.com/
【プロフィール】
■早矢仕 裕幸
以前、所沢に尾内写真商会という中古カメラ屋さんがありました。子どものころのリコーオートハーフを直してもらった縁でスーパーイコンタを求めました。このカメラがつくられた頃はモノクロフィルムの時代ですから、モノクロがとてもいい写りだと思いました。その尾内さんにモノクロならプリントまでやると面白いよと言われ、2005.11 暗室を作り、その後、自家現像・プリントを始めました。
《展示歴》
2023.8 “THEY SHOOTS PB FILM Exhibition Vol.3” .LAB RAINROOTS(愛知県)
2023.10 公募写真展「モノクローム2〜神は細部に宿る〜」pieni onni参加
《作者から》
介在する人によって、現実はノンフィクションにもフィクションにもなります。私のプリントはどちらかというとフィクションによりがちのようです。カメラ・フィルムでネガを作り、引伸機・プリントでポジにするという反転プロセスで現実は非現実になるのではないかと思います。私の居る場所は私にとっては現実ですが明日のことはわからないという点で、現実と非現実を区別する意味がどれほどあるのか私にはよく分かりません。そういえば、写真も現実は非現実、非現実は現実ではないでしょうか。
■うたろう
1969年 岐阜県生まれ
1993年 立命館大学経営学部 卒業
1985年「岐阜県美術展」入選をはじめ、月刊写真誌、自治体系美術展等、入選多数。
撮影は、白黒フィルム(35mm、中判、大判)を使用し、暗室で、引き伸ばしや現像を行う従来のゼラチンシルバープリントの技法に拘り、作品制作を行っている。
また、カメラをこよなく愛する写真機愛好家でもある。
《作者から》
日常の喧騒を離れ、静かで穏やかな気持ちに浸りたいとき、私は撮影し暗室に入ります。
大切な人、愛着のあるもの、心のよりどころになる場所、旅先の風景、この世界の全ては常に移り変わり留まることを知らず儚いものです。その時の印象と情感を印画紙のゼラチン層に留めました。見てくださった方の心が穏やかに静かな気持ちで満たされますように。