市場へ Toward The Market

市場へ Toward The Market
夏目 安男
2016/04/21 ~ 2016/04/27
アイデムフォトギャラリー「シリウス」

エクアドルで出会った路上での髭剃り売り。ブラジルのベレンでは、市場の入口で軍警が自動小銃を持って立ち、すぐ近くでマイク片手にCD売りが歌い踊っていました。通りを行けばわずかな日用雑貨を吊り下げて売り歩く行商人にも出会いました。南米の市場や通りは喧騒と異様なほどの活気に満ちていました。
カンボジアでは、明け方、私たちの客船を木造帆船が全速力で追い抜いていきました。朝の市場には荷揚げした新鮮な魚が並んでいました。その狭い通路の真中には、地雷で足をやられた男性が台車の上に横たわり物乞いをしていました。1日働いて、1000リエル(約30円)ほどの収入しかない人もいる国、1ドルで買ったマンゴーの量の多さに驚きます。
カンヌやエーゲ海の真っ白な真珠ミコノスでは、洗練された商品が並び、売り子にもお客にもエスプリや気品を感じさせられました。少し離れた旧市街の通りのパン屋さんのバゲットに、まちの普段の生活を味わいました。
オマーン・サラーラ乳香市場のエキゾチックな甘い香り。ヨルダン・アカバ市場の強烈な香辛料の匂い。
旧社会主義国ブルガリア、ルーマニアのお店での沈滞と沈んだ眼差し。同じ黒海沿岸にあってもウクライナ・オデッサのまちでは、内戦中とは思えないゆとりや明るさがそこにはありました。
旧市街の市場には、生きることに懸命な庶民の姿があったかと思うと、新市街のショッピングセンターには、ブランド品があふれ、高級車で乗り付けショッピングを楽しむ人たちがいます。同じ国とは思えない、まるで別世界のようでした。私は市場で、内戦、戦争の影、平和の尊さも実感しました。市場は、歴史、価値観、生活を投影した地域と暮らしの縮図でした。現在を投影する世界の市場を、ぜひご覧ください。