子どもと地蔵さま

子どもと地蔵さま
田沼 武能
2019/09/20 ~ 2019/10/03
オリンパスギャラリー大阪

「村のはずれのお地蔵さまは、いつもニコニコ見てござる」と童謡で歌われる通り、日本には津々浦々に地蔵さまが祀られています。それだけ日本人に親しまれているのでしょう。私が地蔵さまを意識するようになったのは、1945 年の東京大空襲の翌朝に、わが家の防火用水槽の中で焼死していた子どもを見てからです。その姿があまりにも地蔵さまの姿に似ており、私は“地蔵さまは子どもの化身である”と思うようになったのです。学校を卒業し写真の道に入ってから、日本の子どもや世界の子どもの写真を多く撮るようになりました。そして、防火用水槽の子が忘れられず、子どもと地蔵さまにかかわる行事を探し、写真に記録することを始めました。
 行事の辞典から引き出して調査しました。しかし、戦後の時代の変化で消えてしまったものも多く、わずかになった行事を尋ねたなかから、今回4 つの行事の写真をご覧いただきます。

・福井県小浜市、消えつつある伝統行事、西津に伝わる「化粧地蔵と地蔵盆」
・200 人をこえる子どもが参加する、少子化時代には珍しい京都市左京区岩倉の「地蔵盆」
・群馬県佐波郡玉村町、近年は都市化の波が押しよせ子どもが少し増えた、箱石の「地蔵さまワッショイ」
・山形県尾花沢市北郷の正月の雪の中で行われる「地蔵ころがし」

 私はユニセフ親善大使の黒柳徹子さんに同行し、30 余年にわたり、援助を必要とする国を訪問し、子どもの写真を撮り続けています。そのほとんどは戦争や紛争に巻き込まれた国であり、被害を受けるのは子どもや女性、老人です。訪ねるたびに日本の戦争時代のことを思い出します。
 劇映画などで戦争を見ると、なんとも恰好よく見えますが、戦争そのものは人と人との殺し合いにほかなりません。日本の子どもたちが地蔵さまと楽しんでいられるのも、平和であるからこそです。写真に映された子どもたちのように、明るい笑顔で地蔵さまと接していられるのは、戦後日本は戦争をおこしていないからです。防火用水槽の中で命を落とした子どものようなことが起こらぬよう、平和な日本であり続けてほしいと願いつつ、子どもと地蔵さまの伝統行事を撮り続けています。

出展作品数:カラー 約70 点

【ギャラリートーク】
日 程:9 月28 日(土)13:00 ~
参加費:無料
お問い合わせ:オリンパスギャラリー事務局 TEL:03-5909-0191