写真展

サバンナの民・ボラナ

石川 多依子

2018.07.27(fri) ~ 08.01(wed)

日本から遠く離れた辺境の地で暮らす人々を撮りたい、という強い希望が叶い、2016年8月の半月余り、エチオピア南部のサバンナ地帯に息づく牧畜民、ボラナの撮影に出かけた。この地を研究する人類学者のお世話で、現地の衣装を身に着け人々の中に溶け込み、村々に滞在しながらカメラを向けた。
ボラナの村には、水道も電気もなく、我々から見れば食料も極めて乏しい暮らしがある。女たちは牛の乳を搾り、水汲みや薪採り、ミルクの行商等々、毎日あくせく動き回る。男たちはのんびりと家畜の世話や放牧に出かける。朝食と夕食は、牛やヤギ、ラクダの搾りたてのミルクで作るミルクティー。昼食は乾燥したトウモロコシの水煮とごく質素。来客があれば、羊や山羊などの家畜を潰して馳走する。家は2間続きで入り口が1つ、窓はない。夜は幼い家畜を炉に集め、人はその傍らで眠る。
他にも日本では見られない光景が幾つもあった。例えば、村のバターミルクコーヒー。人々は土着の神へ祈祷後、飲むだけではなく、実を食べ、ミルクに溶け込んだバターを肌にすりこむ。また、家畜の水飲み場では、深い井戸の底から水を人力で汲み上げる力強い男たちと、順番を待つ家畜の群れの多さに圧倒された。
過酷な環境の中、自然と共に暮らすボラナの村人に、「生きる」という原点を改めて考えさせられた。大地を踏みしめて生きる村人の力強い身体や、瞳の奥に蓄積された含みのある眼差しにも心魅かれた。人々の表情を通してサバンナの民・ボラナの暮らしを垣間見た。