写真展

石の声

磯和 璉子

2018.09.07(fri) ~ 09.13(thu)

 私の撮影の基本は歩きです。野に入り川をたどって森へ、てくてくてく。
現場の空気を共有すると周りの情景が次第に鮮明になってきます。気になる何かを見つけたらまず一枚、興が湧くと数枚撮影、興に乗ったらさあ大変、日が暮れてバスに乗り遅れそうになることもしばしば。
 ニューヨークで学び働いて20年。リタイア後はしばらく休憩したくて故郷伊勢へ帰省し、まずは伊勢神宮へ参拝に。久しぶりの伊勢神宮は何も変わらず、いつもの場所でいつものように千年以上も続く祭祀が執り行われているのを見て、強烈なカルチャーショックを受けました。それからは神宮通いの日々となり、気がつけば手にはカメラが…60歳での写真開眼でした。
 海外のダイナミックな自然に慣れた目に、日本の自然は繊細でとても新鮮に映り、夢中でシャッターを切ってばかり。やがて、ゆっくり被写体に向き合えるようになるとファインダー越しに見えてきたのは山、川、草、木の生きる姿や息吹でした。そんな日本の自然に感動して、永住するつもりのアメリカ生活に終止符を打ち、日本に戻って写真を撮り始めました。
 能にも惹かれて通ううちに、ここにも山川草木を生きとし生けるものとする悉皆成仏の思想が深く流れていることがわかり、日本独特の自然観に興味は深まるばかりです。
 近頃、石が気になります。「石は黙ってものをいう」(堀口大學)そうですが、石の声をお届けできれば幸いです。

出展作品数:カラー 約40点

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