写真展

室戸 海の富

前田 博史

2016.06.03(fri) ~ 06.09(thu)

清かな海風が 遥かな水平線の彼方から吹き渡ってくる。
湿潤で命の起源を内包したこの南風は、渚を越えて大地のすべてに纏わり、あらゆるものの中に清冽な活力を浸透させてゆく。

室戸岬の先端の岩場に立つと、時を懸けて造り出された造形の美に心を動かされる。風と波と大地の活動によって出現したこの光景を見ると、長い旅の 果てに辿り着いた地球の生き様に思いを馳せてしまうのだ。

高知県の最東端に位置する室戸は、空と海と大地の織りなす壮大な波動に満ち溢れた場所である。空からは絶えず宇宙の意識が降り注ぎ、海からは生命 の躍動が湧き上がる。そして大地では、多種多様な自然の営みが繰り返される。
見る者を圧倒するような室戸の風景は、これらの膨大で正統なエネルギーによって形成されていて、それがこの地の風景の基盤になっている。実に強靭な意思を持った風景である。

岬の最先端に立ち、心を解き放つ。
目の前には打ち寄せる波があり、湧き上がる雲がある。そして岬を越えてゆく風があり、それらを感じる無数の生命がある。その空間に対峙した時、すべてが繋がっているのだと実感できる。すべてが自分の中にあって、何ひとつ分離していないと思えるのだ。
すべてはひとつの出来事...。すべては同じ次元にある、ひとつの現象なのだと。