写真展

鳥 – Dromaius

櫻井 尚子

2018.01.09(tue) ~ 02.11(sun)

原始的な遺伝子を彷彿させるこの鳥たちを眺めていると、古代遥かな世界へタイムトリップさせてくれる。穏やかな光の放つ林の中、グロテスグな目を持つ長身な鳥達の静止する姿は、時間を止め、私を、恐竜時代へと導いてくれるような錯覚さえする。地球の原生を想起させる光景だ。
そんな感傷的な情景を眺めながらこの鳥達に恐る恐る近づいてみると、意外な滑稽さがうかがえた。美しい鳴き声を響かせながら、自由に空を飛ぶ他の鳥たちを見上げながら走るこの鳥達は、羽があるのに飛べず、鳥類の中の落ちこぼれのようで、どこか気の毒で親しみを感じた。豊かな日だまりの中、休む大きな眼球には、白くうっすらとした瞬膜がはられ不気味さが増す。だが、性格は見た印象とは違いおとなしい。外見と内面の整合性のない生き物だ。
子供の頃に習っていたバレエの動きは、どこか鳥類に憧れ真似てつくられたように思える。鱗で覆われた足がゆっくりと一歩踏み出る様子は、地面を押し蹴り、つま先まで丁寧に伸び軽やかである。首はすらりと柔らかく、足は細く長く、華やかな羽のチュチュをまとった立ち姿は、無駄な動きがなく端正である。この鳥達を見ていると、彼らの動きが踊りの起源になっているのではないかと思えた。
進化の過程の中、陸で走ることを選び生き長らえたこの生き物は、長い首をより上に伸ばし、空を見上げ、飛ぶことへ憧憬しているように思える。それと同じように、踊り子達も重力に逆らい、高い上空へ舞うことに羨望しているのだ。それぞれに繰り広げられる舞台では、言葉のない明確なフォルムで、私を、別世界に誘い入れてくれる。

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