写真展

大将軍湯

澤田 勝行

2018.02.21(wed) ~ 02.27(tue)

大阪府泉佐野市の小さな古い風呂屋。泉南地域の廃材やおがくずがくべられると浴室まで柔らかな薫りに包まれる。ありふれた風呂屋の日常は一方で日本人の旧来の営み。

関西国際空港の玄関口であり、江戸期から商業や漁業の町として栄えた大阪府泉佐野市に、小さな古い風呂屋があった。
先代がここを買い取ったのが昭和11年。創業年次は不明だが大正時代から続いているだろうと店主は語る。
正午頃、釜に火を入れ2時間がかりで湯を沸かす。泉南地域の材木加工場から貰われてきた廃材やおがくずが次々とくべられ、やがて浴室まで柔らかな薫りに包まれる。
15時40分、一番風呂の客が重い木の扉を開ける。
人々は皆小さな湯船の腰掛け段に座り、プロ野球の成績やら今日の水揚げについて大声で喋っている。
コーラスの譜面を番台前で読み返す店主は、思い出したかのように釜場へと消え、煙突からはまた頼りなげな白煙が立ち昇る。
一常連客として見つめた、あまりにありふれた風呂屋の日常。しかしそこには日本人の失われかけた旧来の営みが変わらず根付いていた。
一軒の風呂屋が今に伝えた、その残り香を静かにフイルムへ刻む。
(澤田 勝行)

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