「GROUND RESUME」土地の履歴書という意味を持つタイトルの写真展。
2020年に展示された「GROUND RESUME Ⅲ」はこちらでご紹介しています！

5月にギャラリーヨクトで「視点 地点」を展示されましたが、TOKYO BRIGHT GALLERY こちらでの展示ははじめてですね。

ヨクトはとても落ち着いていて、初期から写真展を開催していた場所なので勝手がわかってやりやすいのですが、新しい場所でもやってみたいと思っていたところ、リーダーの冨永さんから「やってみないか」という話があり「やります」というのが始まりです。

ご縁があったのですね。今神田～日本橋界隈は熱いギャラリーが多い印象ですが。

そうです。ルーニィさんやKKAGさんもそうですし、kanzan galleryなど、私も気になるギャラリーが多い地域ですね。

同じテーマで約5年という月日をかけて撮られてきましたが、喜多さんの中で変化したことなどありますか。

東京に対する見え方ですかね。「昭和感があるもの」は、被写体が受け止めてくれるような感じがあるので自然と惹かれます。蒲田で生まれ５歳半まで住んでいたという原体験があり、あちこちに散逸していたその蒲田のイメージの断片を集めて輪郭を作っていくという作業を、撮影するなかでやっていたのかなと…
23区をまわりながらそう感じています。
その結果として下町っぽい、僕が感じていた蒲田ってこういう雰囲気なのかなという「写真」に自然となっていった気がしています。

今の東京から、そのイメージを見出しているという感じはあったりしますでしょうか。

そうですね。最初の頃はそれが無自覚でしたが、結論として、意識が顕在化されてそのイメージを撮っているんだな、と今は理解しています。
そしてこれが自分の写真の「柱」になっていると感じています。それは被写体を見るというより、半分くらいは、自分を（被写体に）投影して見ている気がしています。

作品を観る人にもそう感じてほしいですか。

観る人にとってどうか？という事ではありますが、私の「自分史」みたいな価値観と「客観的な事実」としての「写真」が交錯して「何かしらの価値」が、展示を観た方にもたらされれば、作品として成立すると考えているので、そうなればうれしいですね。

前回は東京市35区（昭和７年制定の区画）と言っていましたが、今回は、より分かりやすくするために「東京23区」というように言い直して、日本の現在の「首都・東京」の枠組みを明確にしたところです。また、土地（場所）を狙ってというより、歩くことを優先して惹かれるままに、嗅覚みたいなもので歩きまわり、それでも立ち止まった地点を撮っています。

今後もこのテーマを撮りたいと考えられていますでしょうか。

続けたいですね。今回は一旦のマイルストーンです。
最初の中野を撮り始めたころとは撮り方も違います。古地図なども調べた上で撮影場所を決め、そこに行ってみようという手法だったのですが、今は、動物的な嗅覚を大切にするために「歩く事」を優先する方法にしていますから、以前のやり方で撮影した地域は歩きなおしたいと考えています。
写真のセレクトも変わりましたし、もともとはスナップを撮っていたので、初期の頃はその感覚が作品に残っています。
その部分はあらためてランドスケープとしてとらえなおしたいですね。
ですのでもう数年かかるかもしれません。

ありがとうございました。

作品のすみからすみまで写っているあらゆるもの。それは普段の生活では意識していないものばかり。自然や人がつくった構造物たち、それらが合わさり構成されている光景は、奇跡のようでもあり、何故だか心動かされます。何故心動かされるのか、自分の中を突き詰めて考えてみる…。それは普段眠ってしまっている、いろいろなものに気づかされる瞬間です。ぜひご覧ください！

【喜多 研一 写真展「GROUND RESUME 2018-2022」】
会場：TOKYO BRIGHT GALLERY
会期：2022年10月11日～10月23日
12:00～19:00（最終日17:00まで）
https://www.tokyobrightgallery.com/home

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