~ 笑った写真も、不機嫌な写真も、全てが大切な記録。 ~
写真展のテーマは、上村さんと旦那さんとの日々。旦那さんの顔がシワだらけになるほどの笑顔、何かを語りかけようとする姿、作業に集中する横顔、不機嫌そうな表情。作品は、二人の日常の記録です。
タイトル「誤解を恐れず言うと」は、上村さんの旦那さんが喧嘩をする前に、または最中に使う言葉だそうです。「今から言うことはあなたを傷つける可能性があります。でも、誤解をせずに聞いてください」との意味が込められています。嬉しいこともあれば、悲しいこともある夫婦の生活。作品のコンセプトを上村さんにしかできない形で表したタイトルとなっています。
「日常は、良いことや悪いこと、どちらでもないことの繰り返しです。良いことばかりを思い返したいし、時には辛いことを辛い状態のままで引きずったりもしたいですが、時間は前にしか進みません。自分の意識とは関係なく向かってくる日々は、ふと振り返った時、全てが同じ過去となるのだと気づきました」
普段の生活でもすぐに撮影ができるように、カメラを用意している上村さん。様々な場面を収めているからこそ、作品一つひとつの撮影時の気持ちは異なります。しかし、写真にすると全ての瞬間は平面となり、同じ過去の一コマとして残ります。
この状況に、上村さんは「まるめて捨てるように撮った日も、特別をのこしたくて撮った日も、おなじ目的地へむかうための毎日だった」と感じたそうです。「目的地」は、過去を振り返る時、作品を見返す時、死ぬ時など、あらゆる解釈ができます。この曖昧な言葉は、幸せの形や目的は人によって異なるのではないかと、上村さんの意図が含まれています。
「写真の内容をキャプションや言葉で伝えるのは難しいので、写真で会話出来たら嬉しいなって思います。」
良い事ばかりではない。嫌な事もあるリアルな日常を撮影した「誤解を恐れず言うと」。ご興味のある方は、足を運ばれてみてはいかがでしょうか。
【上村 千恵子 写真展「誤解を恐れず言うと」】
会期:2017年10月3日(火)~10月15日(日)
11:00~19:00 ※10月9日(月)は休廊
会場:ソラリス
http://solaris-g.com/portfolio_page/171003/