~ 写真とARで香りをビジュアル化 ~
東京・上野の入谷口から徒歩3分にある「みんなのギャラリー」は工場跡地をリノベーションした建物の2階にあります。写真や映像、インスタレーション、絵画、彫刻などさまざまな企画展を開催しています。現在行われているのは、企業の研究データをデジタル技術で表現している一風変わったアート展です。
花の香りに包まれた会場に入ると正面に見えるのは、カザンリンク(バラ)とガーデニア(クチナシ)をシンボリックに写した作品。蕾・咲きかけ・開花の3時期をとらえた作品は、学術的でもイメージ的でもない独特の陰影によりシンボライズされているのが特徴です。スペインのフォトグラファーであるFrancisco Hernandez Harzalさんが照明を操りながら撮影していったそう。
シンボリックな花の写真作品に会場内のタブレットをかざすと、花から香り成分が拡散しているAR(拡張現実)を楽しめます。ちなみに香り成分の種類や量は、実測データを元に視覚化されているとのことです。在廊されていた花王の安部忍さんにお話を伺いました。
「アートも科学も差はありません。私たち人は本能に近い部分で知りたい、見たいという願望を持っていて、アートを鑑賞するということは科学の観察に通じます。一方で、情報社会においてインターネットではできないことをしたいと考えました。研究データのビジュアル化や、体感できる装置や空間をつくることで、科学や技術について興味を持ってもらえればうれしいです」
多くの企業が、メセナ(文化・芸術支援)活動の一環として自前の技術をアートにしてオフィス内に飾ることで、若手のアーティスト・クリエイターの活躍の場・機会が広がるのではと、ビジョンを語ってくれました。
会場には他にも、香りを正確に採取するためのエアロセント装置や、花の開花のタイムラクス動画にあわせて香りを体感できる作品などが展示されています。花の良い香りに包まれながら科学とアートの不思議な世界を体感しに、ぜひ会場へ足をお運びください。
【香り研究技術×AR「研究技術のアート・コミュニケーション展」】
会期:2018年11月19日(月)~11月25日(日)
12:00~19:00(最終日は18:00まで)
会場:東京都台東区東上野4丁目14番3号 2階ギャラリースペース
主催:花王株式会社 香料開発研究所/作成部門