OHO KANAKOさんの写真展「日々、彼是」が、2020年9月20日(日)まで東京都 神田にあるTHE BASE POINTで開催されています。会場では、2019-2020年にローライフレックス3.5Fで撮り下ろされたモノクロ作品19点を展示。それらの作品では、3人のお子さんたちを中心としたOHOさんを取り巻く日常が切り取られています。
20歳のころ祖父から譲り受けたフィルムカメラで写真を始められたOHOさん。2014年に、写真家の渡部さとるさん主宰のワークショップ「Workshop2B」を受講したことをきっかけに作品制作を始められ、2017年には、銀座および大阪ニコンサロンにて個展「海馬のゆりかご」を開催されました。
本展のタイトル「日々、彼是」には、他人から見たら他愛もないようなことを悩んだり、喜んだり、笑ったり、怒ったりしながら過ごす日々の中で、他人を羨んだり、比べたりしてしまうこともあるけれど、誰かの為ではなく、ただあるがままに写真を選んでいこうという思いが込められています。その思いの背景には、子育ての中でお子さんたち、そして、改めて「写真」と向き合われたことで見出された気付きがありました。
「初めて子どもを産んだとき、あまりに写真が撮れなくて泣いた」
被写体は主にお子さんたち。それは本展以前の作品にも共通しています。そんなOHOさんですが、初めての子育てで、写真家としてのスタンスが180度変わったのだそう。「常に赤ん坊を両手に抱いているから、カメラが持てない。いつも首から下げていたカメラの定位置は、子どもに変わりました」
「ママといるより友達と遊ぶほうが楽しい」
そんな身動きの取れない状態から始まった子育てと作品制作の日々でしたが、気付けば長男は成長し、ファインダーの中から消えていきました。「家族といえど他人であり、彼らはだんだんと私の腕の中ではない場所に巣立ってゆきます。少し前まで一歩あるくことに拍手をもらっていた子どもたちは、自転車に乗り、車に乗り、速度や価値観を変え、遠くへ遠くへ行くのです」そう子育てを振り返るOHOさんですが、自身と他人とを比べて悩んでしまうこともあったのだそう。
「隣の芝生は青く見えすぎる」
「子育ては楽しいことばかりではありません。日々増え続けるワンオペ育児や家事。他にやりたいことがあったとしても、それらを終えた夜中から。そして、脱ぎ捨てられたオムツの山を見て溜息をつく。そんな行き場のない日常の中で、つい他人と比べてしまう瞬間がありました。それは作品制作においても同様です。他の作品と見比べて、あの人の作品はいいなと思ってしまうこともあります」
「ですが、ふと自身の庭に目を向けると、そこには四季がありました。春には花が咲き、夏には緑が生い茂り、秋には果実がなり、枯れる時は枯れている。それは毎日見ていると気付けないこと、だから隣の芝生はよく見えるのです」
本展には、鑑賞者の皆さんそれぞれにとっての芝生が見つけられれば良いなという思いも込められているとのこと。ぜひ会場で、自身のかけがえのない日常に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
※本展の会場であるTHE BASE POINTでは、モノクロフィルム、印画紙、写真用品の販売および、モノクロ専門暗室やギャラリーのレンタルを行っています。詳細は、こちらをご覧ください。
【OHO KANAKO 写真展「日々、彼是」】
会場: THE BASE POINT
会期:2020年9月15日(火) 〜 2020年9月20日(日)
11:00-19:00(最終日は12:00-16:00)
http://www.thebasepoint.jp/Gallery_inf.html#200915-0920OHO
OHO KANAKOさん WEBサイト https://www.ohokanako.com/