~青く可憐な春花「わすれなぐさ」の様々な表情から、生き方やを考える~
イギリスへの美術留学で日本とは異なる文化や社会に触れた中根秀夫さんは、帰国後、絵画を中心に映像や写真など様々な表現の作品を発表しているアーティスト。「色」をテーマにした作風が特徴で、今回の個展は青を基調にした新作の写真21点と絵画9点に、前作の写真1点を加えた展示内容です。
写真作品のモチーフになっているのは、青く可憐な春花「わすれなぐさ」。前作「うつくしいくにのはなし Ⅰ」で福島の風景写真を展示するにあたり、ドイツの詩人ウィルヘルム・アレントの詩『わすれなぐさ』を引用した際に、イメージが結びついたのだそう。一つの鉢を半年にわたり撮り続ける中で、長い時間の中で歴史や記憶がどう受け継がれていくのかに着目したと言います。
「僕は絵画の人間なので、写真に対する扱いが写真家さんとは違うかもしれませんね。どちらかというと映像に似ていて、モチーフを繰り返すことで少しの変化を表現しています。それに青という色が加わることで、写真と絵画という二つの世界がつながる。とかく現代の日本は一つのことに決められがちで息苦しい社会ですが、同じくにに暮らしていても、一人ひとり自分の生きる場所や時間のあることが大切だと考えています。それが何かのきっかけで交差したりしなかったりする。自由でいいのだと思います」
この会場で場所や時間を共有してもらい、感じたことをそのまま持ち帰ってもらえればと、中根さん。ステイトメントには、中根さんが2018年に岩手・陸前高田を訪れた時に感じたことが記されています。
一つとして同じ表情をしていない青く可憐な春花「わすれなぐさ」は、私たちに何を忘れないでと語りかけているのでしょうか。中根さんは今日3月19日(火)以外は、毎日午後に在廊される予定だそうです。ぜひ会場へ足をお運びください。
また、同時に展示されている絵画は、青い色画用紙に青系の色を縦に垂らした抽象的な作品です。併せてお楽しみください。
【 中根 秀夫 写真展「うつくしいくにのはなしⅡ」】
会期:2019年3月18日(月)~3月23日(土)
11:00~19:00(最終日は17:00まで)
会場:Galerie SOL
http://www005.upp.so-net.ne.jp/…/EXHI…/2019/201903nakane.htm
中根さんのWebサイト
http://hideonakane.com/