テキサス州、エルパソ。
メキシコと国境を接し、ギラギラの太陽と乾いた気候に赤茶けた景観。滞在したのは10月末だったから雨季を過ぎ天気には恵まれて、おそらく一年で最も過ごしやすい時期と思う。
ただ気候が乾燥しているから知らないうちに鼻の皮が剥けていた。これには参った。

アメリカの写真家が好きだ。
だから現地を見渡すと既視感さえ憶えた。
ガレージ、看板、家並み、ハイウェイ、空の色。
作品を発表する立場であるのだから「ちょっとは違うものを。」と思い、その既視感が怖かった。
けれどそれ以上に目の前に興奮している自分がいた。
それには逆らえない。
「見るもの全部いちいちフォトジェニックでさ。」なんて照れ隠しをしていたが、本当はどうでもよかった。

美しかった。

ただそれだけを信じること。
敬意を示すこと。