女学生日和 その3
小川 修司
2020/03/12 ~ 2020/03/18
ギャラリー ヨクト
写真に写っている女学生たちはすべて僕が出かけた先で偶然出会い、その場で声をかけて撮らせてもらったものである。
女学生を選んだのは、僕が学生時代にまともに女の子と話すことができなかったから。
そのコンプレックスとフラストレーションが僕を突き動かしている。
今回で3作目となる。
全員が対等であり平等であるはずという思い、それと被写体となってくれた方々に敬意を抱く意味でセレクトはせず撮影した全てのモデルを展示している。
また、全ての写真で声掛けから撮影終了までの音声を公開している。当初は試験的であったが自分が思っていた以上に音声の存在は大きくなり始めている。
今回彼女たちには全員にたったひとつの同じ質問をした。
「今、頑張っていることは何ですか」
2019年、国内全体の自殺者は減少したものの、未成年の自殺者は増加だったという。とても残念なことだ。
音楽や映画に小説。学生時代の僕(今もだが)はいつだって誰かの創作物に救われてきた。
誰かの世界に救われてきた。だから自分の手で作るものも少しでも前向きなもの、人に勇気を与えられもの。
笑顔の写真に拘ろうと。今を生きる、平成と令和をまたいだ女学生たちはいったい何を頑張り、そして未来へと向かっているのか。
全体的にパーソナルな事柄が多かったがそれは年齢的なものなのか。もしくは別の時代だったらまた違ったのか。
また、一部の女学生たちには「一緒にいる相手のことをどう思っているのか」を聞いた。 仲良しに見えるけれど本当のところは相手にどのような感情を抱いているのか。
音声を聞いたところで、二人組で写真に写っている女学生のどちらが発した言葉なのかはわからないと思う。もし少しお時間があるならぜひ想像して楽しんでみてください。
僕はラジオが好きで、とくに写真の彼女たちと同年代の頃はよく聴いていた。
ラジオのパーソナリティが複数いる場合、誰の声が誰なのかわからないということがしばしばあった。
まれに雑誌などに載っている記事などで顔写真を見ることができたくらいで、当時は今ほどインターネットが普及しておらず簡単に調べることができなかった。今にして思えばそれはそれで楽しかったし、メディアの欠けている部分、つまり余白を楽しむことはごく当たり前のことだった。
企画:山崎弘義
モノクロ写真A3サイズ24点を展示。
会期:2020年3月12日(木)〜3月18日(水)
会場:ギャラリーヨクト