木下 修 写真展「偏愛東京-熱い思いが作り出す街の光景-」

木下 修 写真展「偏愛東京-熱い思いが作り出す街の光景-」
木下 修
2023/08/31 ~ 2023/09/06
アイデムフォトギャラリー「シリウス」

東京の街の特徴は、まるで鵺のような生き物のように無秩序に常に変化しているといわれています。また、街への偏愛が無くなって、面白くなくなったという人もいるようです。でも、その東京の街をコロナ禍の中でもカメラ片手に歩いていると、少しばかり不思議な光景、奇妙な風景、非日常的な場面に出くわすことがあります。

それらの光景は、階段を上から見守る猿の人形。赤い社の後ろに干された満艦飾の布団。隣り合う民家の隙間から流れ出ているペットボトル。入口を塞いだ赤い板。釣鐘と洗濯物が同居している光景。民家の屋根の下で本を読む二宮金次郎。屋上から空を見上げているラクダ。植木鉢として花を育てている防火用水桶、などです。東京の街角には色々な“もの”が棲み、お互いに響き奏であって異彩と偏愛にあふれる街の光景を造っています。

東京は様々な人の想いが錯綜する、カオスのような街ですが、その街の表情の中に、そこに住んでいる人のまじめさ、おおらかさ、豊かな営み、洒落、さらには嘲笑すら見て取ることができ、その根底には生きるエネルギーが満ちています。この生命力が街の変化を支える源なのかもしれません。

木下 修