地平線を360度撮影して、細長いパノラマ写真のはしとはしを繋ぐと円になる。
撮影場所に立つと、足を止めるからだろうか、地面を踏んでいる感覚、そしてまわりの空気に触れている感覚が大きくなる。
ある夕刻、橋の上では、山から冷たい風が吹いていて、山に当たる風は雲になって遠くまで流れていた。横を車や人が往来し、時に鳥が飛来しているのが見える。いつもの定点で撮影したあと、反対の岸近くに移動してみた。一つのビルだと思っていたものが二つになり、見覚えのある建物同士が離れていくのも面白い。
ずっと街の音が聞こえている中、遠くの景色を見ていると、それらは風を感じる時の皮膚感覚と同じようなものとして感じられる。日が落ちて景色の色数が減り、空のグラデーションが際立ってくると、また別の色として肌に残る。

渡邊 智美 個展「rearrange」
会期：2024年4月30日（火）～5月12日（日）
　　　15:00～19:00（最終日18:00まで）
　　　月曜日休廊

会場：Art Spot Korin
　　　京都市東山区元町367-5
　　　artspotkorin.wordpress.com

詳細は公式サイトの掲載ページをご覧ください。