古事記では、倭建命が帰れない故郷への思いを込めて『倭は国のまほろば　たたなづく青垣　山籠れる　倭し麗し』と詠んだとされています。
　本展示は、このような「望郷の念」をテーマに、幼稚園に入る前から30年に渡って過ごした城陽市とその近郊を撮影したものです。
　故郷を思う気持ちは、安定した環境の中で生活できたことが大きく影響しているのかもしれません。その感情を表現するために、やわらかな描写ができるカラーネガフイルムを使い、穏やかなコントラストで色調に統一感をもたせたプリントで展示作品を構成しています。また、記憶のあいまいさや現実との距離感を可視化したかったので、フレアやゴーストも取り入れました。
　撮影時期は2013年から2018年までの５年間で、1930年代に製造された、6×6のフイルム中判二眼レフカメラで撮影しています。また、シャッターを切ることとなった主体が存在する個々の場所の重みを出すため、少し距離を置いて撮影した写真を選びました。
　会場にはカラープリントの半切、35枚を展示する予定です。

車音景仁 写真展「まほろば」
会期：2024年12月17日（火）～12月22日（日）
　　　10:00～18:00（最終日は17:00まで）
会場：ギャリエヤマシタ１号館
　　　京都市中京区寺町三条上る西側
　　　画廊事務所　075-231-6505
　　　入場無料