大門美奈「東をどり百回記念写真展『新橋芸者』」

大門美奈「東をどり百回記念写真展『新橋芸者』」
大門 美奈
2025/05/14 ~ 2025/05/31
Kiyoyuki Kuwabara Accounting Gallery

東京・馬喰町のアートギャラリーKKAG(Kiyoyuki Kuwabara Accounting Gallery)では、2025年5月14日(水)から5月31日(土)まで、写真家・大門美奈による「東をどり百回記念写真展『新橋芸者』」を開催します。
KKAGでは2回目となる大門美奈の写真展は、2025年5月に第100回を迎える新橋芸者の「東をどり」を記念して、新橋花柳界を高品質のモノクロプリントで表現した「新ばし」シリーズを展示します。ぜひご高覧ください。

 
協力:東京新橋組合・カロタイプフォトワークス

 


 

新橋芸者という存在を知る人は少ない。京都の芸舞妓は日本のみならず世界中に知られているが、新橋芸者とは「新橋」という名を冠しているものの、銀座の芸者である。かつては人力車でお座敷からお座敷を移動していたため、その姿を見かけることもあったというが、現在はもっぱらタクシーで移動することが多いため、お稽古場へ向かう素顔の新橋芸者を見ることはあっても、いわゆる白塗り・日本髪の芸者を見かける機会は今やほとんどないだろう。
昭和初期の最盛期の頃の新橋芸者の数は約400人を数え、アイドル並みのスター芸者も生み出した新橋花柳界。現在(2025年3月現在)はその数は40人を数えるほどだが、なごやか、かつ華やかでありつつも、個性豊かな面々が揃う。「芸の新橋」という言葉があるように、その芸(日本舞踊はもちろん、長唄や三味線、お囃子に至るまで)の水準の高さは日本随一だろう。一見お断りの花柳界。我々が普段目にすることのない、彼女らの芸を年に一度だけ楽しむことができるのが「東をどり」である。今年2025年の5月、東をどりは記念すべき100回目を迎える。普段は新橋芸者のみが舞台に立つ東をどりではあるが、今年は京都はもちろん、金沢や博多といった日本全国の花街、また東京の各花街からも芸者衆が日がわりで出演し、記念公演に華を添える。
新橋のお座敷は明治の時代から新政府の高官や政治家の社交の場としても使用されてきた経緯がある。いわば日本の近代政治は新橋芸者とともにあったといっても言い過ぎではないのではないか。彼女らがお座敷での話をすることは決してないが、白く塗られた肌の奥にはさまざまな秘密が隠されているのだろう、彼女らの隙のない身のこなしを見ながら新橋花柳界が背負ってきた責任のようなものを感じることがある。
日本の伝統芸能といえば歌舞伎や能などがよく知られた存在ではあるが、親密な場で、料理と酒、唄と踊りが楽しめる、この新橋花柳界にこそ日本の伝統文化の粋があるのではないかと思っている。

大門美奈

 


 

大門美奈「東をどり百回記念写真展『新橋芸者』」
会期:2025年5月14日(水)~5月31日(土)
   15:00–21:00(最終日は18:00閉館)
   ※日、月、火は休廊
会場:KKAG(Kiyoyuki Kuwabara Accounting Gallery)
   東京都千代田区東神田1-2-11 アガタ竹澤ビル405
   入場無料

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