長田 果純「星くずたち」

長田 果純「星くずたち」
長田 果純
2025/12/18 ~ 2026/01/19
Exhibition Archives

12月18日(木)より、THE BOOK ENDでは長田果純 写真展「星くずたち」を開催いたします。

幼い頃から石を拾っては持ち帰り、大人になっても無意識のうちに石を集めていた。自分の記憶や感情を超えて、ただそこにある石を見つめたとき、内側と外側、自己と世界が静かに繋がる感覚が生まれた。それは写真という行為を通して「世界に触れる」という営みそのものが、生まれ直すような体験だった。「星くずたち」は、まなざしを深くし、石を通して存在や時間へ潜っていく試みだ。石の表面に刻まれた模様や傷は、皮膚の皺や痣のようでもあり、いつかの痕跡のようでもある。マクロとミクロの境界はゆっくり薄れ、石なのか、人なのか、あるいは誰かの記憶なのかが曖昧になっていく。輪郭がほどけていくその過程で、別々のものが遠くでそっと共鳴し合うように見えてくる。写真がすくい上げる“いま”という痕跡をたしかに辿りながら、わたしは“存在する”ということの根源的なかたちを見つめている。

今回の展示では通常のプリント作品の他に、湿板写真(アンブロタイプ)という技法を初めて用い、ガラスに焼きついた像の下にプリントを重ねた作品を発表する。複製を前提としない19世紀の湿板写真という在り方は、石そのものがもつ唯一性に呼応し、わたしの視点をよりはっきりと可視化するものとなった。それは、石という存在にそっと近づいていくための、ひとつの方法でもある。

宇宙の視点に立てば、石も人も記憶も、それぞれが固有のまま、同じ循環の中に漂う星くずのような存在なのかもしれない。「星くずたち」は、そんな循環の中で生まれ、これからもかたちを変えながら続いていくシリーズだ。これはその途上に現れた、今この地点でのひとつの姿である。

本展ではプリント作品8点の展示に加え、新たに制作された「星くずたちⅡ」も本展に合わせて初披露となります。長田果純のまなざしをぜひ会場で感じてください。

 


 

▼開催情報
長田 果純「星くずたち」
会期:2025年12月18日(木)− 2026年1月19日(月)
   11:00-18:00
   火·水曜定休 / 入場無料

会場:THE BOOK END
   兵庫県神戸市中央区海岸通3-1-5 海岸ビルヂング 302 THE BOOK END
   080-7007-6949 / hello@the-book-end.com
   https://the-book-end.com

※駐車スペースはございませんのでお車でのご来店はご遠慮ください。
※展示物の関係上、祝花はお断り申し上げます。
※入場制限やアポイントメント制とさせていただく場合がございます。あらかじめご了承ください。

 


 

▼プロフィール
長田果純 / Kasumi Osada
1991年静岡県生まれ。東京在住の写真家。14歳の頃から写真を撮り始め、現在はポートレート撮影やファッション、アーティスト写真や本の装丁など、活動は多岐にわたる。個展に、「透明になることは二度とない」2014年(下北沢アートスペース / 東京)、「いまは夜のつづき」2016年(三鷹ユメノギャラリー / 東京)、「平凡な夢」2019年(Alt_Medium/東京)2022年(es quart/東京) がある。

https://www.osadakasumi.com/
Instagram:@osada__

 


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