佐藤圭司「Tabby Cat」

佐藤圭司「Tabby Cat」
佐藤 圭司
2026/03/30 ~ 2026/04/12
RED Photo Gallery

『Tabby Cat(タビーキャット)』

 タビーキャットとはトラ猫のことで、全身に縞模様を持つ猫の総称だ。その中でも大きく4つに分類されるそうだ。だが、どう分類されるかなんて興味はない。

 ある冬の日に、ヤツは突然いなくなった。

 いつも僕が通るとどこからともなく出てきて、オッサンのような風体をして乙女のような鳴き声ですり寄ってきた。「背中を撫でて、お尻を撫でて」と僕の顔を見ると背中を突き出してくる。一通り撫でてやると今度は首周りを出してくる。撫でている間はオッサンのいびきのような唸り声をあげている。
 でもその冬、突然いなくなった。僕は二度と会えないことを知っている。
 「ツンデレ」な性格なのはシバ(柴犬)だった。自分で考えて行動することを好み、納得しない限り動かない。
 その夏、シバは遠くへ行ってしまった。生きていればまたいつか会えるかもしれない。あるいは二度と会えないのかもしれない。
 そして僕は旅猫になろう。旅キャット、ただの駄洒落、オヤジギャグだ。オヤジギャグだが、僕は旅猫になる。
 子供の頃「家に帰るまでが遠足です」と言われた。ならば家を出たら遠足だろう。吉行淳之介は「家から一歩外に出れば旅だ」と考えるヘンリー・ミラーに共感し「街角の煙草屋までの旅」を書いた。そして須田一政は「角の煙草屋までの旅」をカメラ毎日に連載した。
 僕は旅猫になってオッサンの(”ような”ではなく)風体をして乙女のような鳴き声で、眼に映るもの全てにすり寄ってみよう。二度と見えない何かが一瞬だけ見えるかもしれない。

 


 

■開催情報
佐藤圭司「Tabby Cat」
会期:2026年3月30日(月)〜4月12日(日)
会場:RED Photo Gallery
   東京都新宿区新宿1-2-11 近代ビル2F
  (Photo Gallery Place Mと同じビル内)

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