時軸・海片

時軸・海片
山口 保
2015/03/21 ~ 2015/04/05
Exhibition Archives

ここ10数年来、岩へのこだわりを持ち続け撮影をつづけてきた。撮影開始から7〜8年は外房の岩礁海岸に絞り、自身の深層に響く岩体を見つけては撮るということを継続した。風景の中にあいた亀裂、異界への入り口を探すような撮影行だったように思う。そしてある意味ではシュルレアリスムのオブジェを掴むような仕事だったと思う。その結果、2011年に写真集『海片』を上枠した。
しかし、個としての岩体を撮影しながらもその足元に、あるいは背後に広がる岩盤の存在に徐々に惹かれる自分を感じていた。「何故おまえはこれほど広がりを持ち、膨大な時を重ねた存在に視線を向けようとしないのか」と誰かに呼び掛けられる気がしたのだ。数年の撮影の後に2014年、写真集『時軸』を上枠した。
前作『海片』では南房に限定された撮影地も『時軸』で本州、四国と16か所に岩の国々を旅することになった。万、億の時を体現する岩々、岩盤と対峙する時、地球の宇宙的な運行に対し大いなる感動と畏怖の感情を覚える。

山口 保

開催ギャラリー:芳澤ガーデンギャラリー