憧憬の6000m-ネパールヒマラヤ、イムジャツェ登頂-

憧憬の6000m-ネパールヒマラヤ、イムジャツェ登頂-
木下 修
2001/04/24 ~ 2001/04/30
Exhibition Archives

 ネパールの東部に位置するクーンブヒマラヤ山域は、サガルマータ(エベレスト)、ローツェなど8000mを越える山が数多くあり、ヒマラヤの中でも一番知られている山域です。イムジャツェ(6180m、英名;アイランドピーク)は、サガルマータの南側にあり、イムジャ氷河の中に島のように屹立しています。
 かってヒマラヤは、多くの岳人にとっては憧れの山域でした。私が登山に熱中したのは、1960年の後半から70年の初めまでのわずかな期間でしたが、その頃、仲間とヨーロッパアルプスやヒマラヤの山を語り合っていました。しかし実際に足を踏み入れて登れるのは本当にごく一部の人たちだけで、私にとってはあまり現実味のない、憧れだけの山域でした。
 1990年代に入ると、ヒマラヤでトレッキングが簡単にできるようになり、92年に山のOB仲間でトレッッキングに行き、初めてダウラギリ(8167m)を自分の眼で見て、スケールの大きさに感動しました。ヒマラヤへ意外と簡単に行けるのがわかると、今度は、ぜひサガルマータを見たくなり、94年にゴーキョピークに登りました。そこで知ったのが、この山域では6000m程度の標高を境に世界が異なり、それを越えるとそこは一年を通じて雪と氷の世界になることでした。ぜひその場所を自分の足で歩いてみたいと思っていました。99年の秋、イムジャツェ登頂パーティ(隊長;宮崎勉)に参加する機会に恵まれ、登頂することができました。
 6000mの世界は、予想以上に現実感が希薄な、別世界でした。今回の写真は、その時の登頂の様子と白い神々の山域を撮影したもので、ご来場の方にその世界を少しでもお伝えできればと思っています。

会場:ニコンサロンbis21

「憧憬のヒマラヤ」:日本フォトコンテスト誌口絵掲載(2001年5月号)
作品はいずれもポジフィルムで、デジタル処理しました。