市井（しせい）の人を撮影したい。シンプルだけど、強い想いに駆られて2015年3月キューバ、2016年3月タイ、そして同年9月にスリランカと海外での撮影旅行を続けています。
　撮影旅行といっても、単なる旅行者として滞在する中、街中や郊外で無心にカメラを構えて心惹かれた人や物を対象に撮影するスタイルです。
　「お茶で有名な島」、その程度の知識しか持たずに訪れたスリランカの人々は遠すぎず、近すぎない適度な距離を保って僕を迎え入れてくれました。日本では人々の距離の近さに困惑したり、距離の遠さに不安を感じたりした僕には、スリランカでの「適度な距離感」は非常に心地よく感じるものでした。馴れ馴れしくなく、孤独を感じさせることもない接しかたは「優しい冷たさ」と言えるでしょう。
　今回、作品を選定する際も、この「距離感」が僕をとらえていました。写真展の作品を通して、人との距離や現地の空気を少しでも感じて頂けますと幸甚です。

※本作品ですが、全てモノクロネガフィルムで撮影しています。
その意図を伝えるためにも、細かいホコリに関してはそのままとさせていただいています。