水田に出現した異空間 ―アーバンみらい―

水田に出現した異空間 ―アーバンみらい―
木下 修
2005/07/22 ~ 2005/08/04
Exhibition Archives

さいたま市の北部にあり、東北自動車道と国道16号線に挟まれた地域は、かつて広大な水田地帯でした。ここに都市整備公団などによる「アーバンみらい」という大きな団地建設が進められ、1991年には最初の入居が始まりました。水田の中に巨大なアパート群が屹立する異空間が突如として出現したのです。
団地住民の多くは首都圏で働くサラリーマンとその家族です。一方、この地域に古くから住んでいる住民は、農業に従事し、団地建設で農地が縮小したこともあって、後継者のいない中高年がほとんどです。団地と地域の住民は、それぞれの圏内で生活し、相互交流はあまりありませんでした。
しかし、団地建設開始から10年以上経過した現在では、当初違和感が際立っていた団地も、その姿が水田風景として調和し始めています。団地の子供たちが、郷土芸能を通じて地域を見つめなおしている萌芽もみられます。団地そのものが、あたかも生命体として四季折々の中にしっかりと存在するようになってきたのかもしれません。
これらの写真は、この地域で1998年ごろから撮り始めた写真をまとめたものです。

作品はいずれもポジフィルムで、デジタル処理しました。

会場:ペンタックスフォーラム