【写真展紹介】第3回「笹本恒子写真賞」受賞記念展 吉永 友愛 写真展「キリシタンの里-祈りの外海」

写真展紹介 / 2019年12月19日

日本写真家協会が主催する「笹本恒子写真賞」は日本初の女性報道写真家・笹本恒子の「時代を捉える鮮鋭な眼と社会に向けてのヒューマニズムな眼差しに支えられた業績」を顕彰し、その精神を引き継ぐ写真家の活動を支援することを目的として設けられた。選考委員は椎名誠(作家)、大石芳野(写真家)、野町和嘉(日本写真家協会会長)

第3回受賞者の吉永友愛さんは長崎市外海(そとめ)地区のキリシタンの暮らしを1979年から2012年まで撮影し続け、人びとの日々の営みを33年間にも渡りレンズを向けた映像に、里人に対する吉永さんの愛情深さがいかんなく滲み出ていて、静かな感動が広がりました。

16世紀のキリシタン弾圧で大勢が命の危険にさらされた日本の歴史を背負いながら、ひっそりと住み続けてきた人びとの信心深い姿、厳しい環境のもとで古里を大切に護ってきた姿、そして村の美しい教会のたたずまいなどを丁寧にとらえています。

この写真の普遍的な意味合いは、キリスト教会ばかりではなく仏教寺院でも神社でも共通する無限の力を信じながら人びとが刻んできた歴史を写し取っていることです。同時に、日本中どこにでもある集落における日常生活が現代でも生きていると知らせている点も見逃せません。

“素人のような撮り方”が流行っているだけに古典的とも言われそうですが、いえいえ、普遍的なテーマに即した表現方法だと言えるのではないでしょうか。

選評抜粋 大石芳野(写真家)

(出展枚数 カラーモノクロ 約40点)

会場:アイデムフォトギャラリー「シリウス」
会期:2019年12月19日(木)〜25日(水)

撮影を始めた1979年のモノクロ作品から展示は始まる

展示はモノクロからカラーへ

作家の吉永さんは会期中毎日在廊予定