木村 美津由紀 写真展「和魂―NIGIMITAMA―」

レポート / 2017年7月10日

祭り写真家の木村美津由紀さんが写真を撮り始めたのは20年以上前のこと。当初は趣味程度でしたが、友人の稲刈りを手伝いに長野の大鹿村を訪れたことで運命が変わります。

「環境を変えたいと軽い気持ちで信州に移り、そこで親方に誘われて初めて見た大鹿歌舞伎に魅せられたんです。それ以来、主に伊那谷・南信州の神事や祭りを撮り続けています」。

写真展の会場には5種類の祭りを写した大判の作品が並んでいます。
長野・飯田市の富山郷霜月祭り、七久里神社裸祭り、南信州の獅子舞、長野・野沢温泉の道祖神祭り、富山・射水市の江柱町獅子方若連中など。神仏への祈りや感謝を表わす日本古来の「祭り」の厳かで神聖な空気を醸しつつも、祭りに携わる人々の力強さや勢いが作品の枠を越えて飛び出してきそうな臨場感と躍動感が伝わってきます。

特に注目なのが江柱町獅子方若連中を写した3枚。
富山・射水市では獅子舞が盛んで、吉事や祝い事があった家に獅子方が赴き獅子舞が披露されます。祝祭の紙吹雪の中で行われる、松明を使った獅子舞の演舞は迫力満点。
木村さんは松明の炎と暗部をつぶさないようストロボを使っていません。空気をまとって光量が増した松明の光と、舞い手の動きが止まる一瞬を捉える。そこには、生き物のように力強く燃える炎と、天狗の装束を身にまとった獅子方のダイナミックな動きが鮮明に映し出されています。

他にも、上から振り下ろす動きの瞬間を捉えた獅子舞や、大桶を担いで火花の下で踊る若者の表情など、木村さんの撮る瞬間の美に引き込まれること間違いなしです。
長野・富山の伝統的な祭りの空気を感じてみたい方は、ぜひ会場へ足をお運びください。

【木村 美津由紀 写真展「和魂―NIGIMITAMA―」】
会期:2017年7月7日(金)~7月13日(木)
月~金10:30~19:00(最終日は14:00まで)
土日祝祭日11:00~17:00
会場:富士フォトギャラリー銀座