畠山 公妥 写真展「ally」

レポート / 2017年9月24日

風景もオフロードバイクも、大自然に属する一つの存在!

会場に並ぶのは北海道・日高の雄大な自然風景と日高ツーデイズエンデューロで自然の中を疾走するオフロードバイクの姿を写した41点の作品です。
このオフロードバイクの競技は町を挙げて毎年開催されていて今年33回目を迎えます。自分たちで草刈りをしてコースをつくり、レース後は荒れた土地を整地して自然環境を守る。自然を遊び場としながらも、自分たちの属する自然への畏敬を忘れないという確固たる信念をもった仲間たちの集まりなのだと、写真家の畠山公妥さんは言います。

「迷ったのは、バイクと風景は違うこと。かっこいいわけじゃないからね。
それで、水しぶきをあげるバイクの姿を撮ったんです」と畠山さん。

「“ally”とは『属する、同盟』という意味です。人間の暮らしや営みは自然に属するもの。風景もバイクも自然の一部。大自然の中でバイクが遊ばせてもらっているわけです。一方でバイクも自然も、一歩間違えれば命を失う危険があり、うまく付き合っていくべき存在という意味では共通しています」

実はこの地域は昨年、台風災害で大きな被害を受けた場所。川の氾濫や土砂災害で道が寸断され、山の中の集落が孤立してしまったと言います。町の要請を受けて立ち上がったのが、日高モーターサイクリストクラブ(HMC)です。スコップや鍬をたすきがけしたライダーたちがバイクに跨がり、災害で荒れた林道を走って救援活動を行ったのだそう。

「山を知っているライダーたちだからこそできることがあります。誰に認められなくても、黙々と救援活動をしている彼らのかっこいい姿を知り、僕がカメラマンとして撮影することで彼らにスポットを当てたいと思ったんです。彼らが見ている風景や自然、自然が見ている彼らの姿をとらえるため、同じ釜の飯を食べ、共にバイクで山に入り草刈りをし、レースの模様を撮影しました」

改めて作品に目を向けると、手足のようにバイクを操りながら道無き道を走るライダーたちは、こういう風に景色を見ているのだと分かります。一方で、広い自然から見れば、人間はアリのように小さな存在なのだと実感させられます。

ライダーが見た自然、自然から見た人間の姿を切り取った畠山さんの世界観に興味を持たれた方は、ぜひ会場へ足をお運びください。期間中は毎日在廊されているそうです!

ギャラリートーク・トークショーも開催されるそうです。
9月23日(土)14:00〜15:00 ギャラリートーク
9月24日(日)14:00〜15:00 ディレクター・三村漢氏とのトークショー

写真中央に飾られているフラワーアレンジメントは、日高モーターサイクリストクラブの仲間から届いたものだそう。「僕の好きなオレンジにしてくれてるんですよ!」と畠山さんは嬉しそうに話してくれました。

【畠山 公妥 写真展「ally」】
会期:2017年9月22日(金)~9月27日(水)
11:00~19:00(最終日は15:00まで)
会場:オリンパスギャラリー東京
https://fotopus.com/event_camp…/showroomgallery/detail/c/644