山口 大志 写真展「アマゾン ―密林の時間」

レポート / 2017年9月28日

都内で見れるアマゾンの野生!

南アメリカのアマゾン川流域に広がる密林には、何万種類もの生きものが生息しています。
子どもの頃、飼育していた熱帯魚が南米原産と知りアマゾンに興味を持ったという山口大志さん。生息地の川はどんな流れなのか、どんな風に泳いでいるのか見てみたいと思うようになったと言います。他にも昆虫採集が好きで、図鑑などをよく見ていたことから、鮮やかでダイナミックな南米の昆虫への憧れも募らせていたのだそう。

「初めての海外旅行でアマゾン川流域へ行きました。ジェット機から見たアマゾンはあまりにも大きく、嬉しい反面、どうやって生きものを探せばいいのだろうと思いました。足を踏み入れるとそこは絶景。ベニコンゴウインコが乱舞する姿を見た時は、アマゾンの凄みを見せつけられた気がしました。今でも忘れられません」

かの地を恋い焦がれつつ、帰国後は写真家を目指して三好和義氏のもとで学び、後に独立。写真家として活動しながら、年に3カ月から半年間はアマゾンに滞在し、貴重な生きものの撮影を続けてきました。
会場には、蜜を取り合って小競り合いするアオミミハチドリ、木の上で昼寝するシロウアカリ、翅の青く輝くアキレスモルフォなど、樹高35メートルから水中まで、アマゾン川流域に生息する貴重な生きものたちの姿を写した約40点の作品が並びます。
地の果てまでジャングルが続く広大なアマゾンでは、貴重な生きものを見つけ出すことは容易ではありません。1カ月かけてようやく撮影した作品も多く、生きものとの遭遇は一期一会だと、山口さんは言います。時には予想外の出会いも。

「サルの姿を追っていた時、偶然、オタマジャクシを背中に乗せて運ぶヤドクガエルと遭遇しました。何カ月も探してようやく見つけられるかどうかという貴重なカエルですね。急いで
撮ろうとしたのですが、サルを撮影するための超望遠レンズしか持っていなくて…。すぐにマクロレンズを取りにキャンプへ戻りましたが、あとのまつり。レンズ1個を持っていなかったために、シャッターチャンスを逃したんです。幸いにも10日後に別の個体と出会い撮影できましたが、あれ以来、常にマクロレンズを携帯するようになりました。美しく大きなプリントで、普段は見ることのできないアマゾンの貴重な生きものたちを見てほしいです」

展示スペースの奥には多様な生きものたちを写した作品が所狭しと並んでいます。中央のパネルに写る2羽の青い鳥は、花の蜜を取り合って小競り合いをしているアオミミハチドリ。「写真に撮ることで新しい発見があります。例えば、肉眼では見れない耳羽(じう)が特殊な動きをしている一瞬など。これは1カ月かけて撮影した奇跡の一枚です」と、山口さん。

常に人で溢れかえっている展示スペースの一画。

今回の写真展は、7年にわたって撮影された貴重な写真をまとめた初の写真集「アマゾン ー密林の時間」の出版記念展。ギャラリートークも行われるということです。山口さんの見たアマゾンの野生を見たい方、撮影秘話を聞きたい方は、ぜひ会場へ足をお運びください。

9月に発刊した初の写真集「AMAZON―密林の時間」を手に。展示しているのは、シロウアカリが昼寝をする貴重な一瞬を写した作品。

ギャラリートーク(各日2回開催)
9月29日(金)~10月1日(日)14:00~、16:00~

【山口 大志 写真展「アマゾン ―密林の時間」】
会期:2017年9月22日(金)~10月5日(木)
10:00~19:00(最終日は16:00まで)
会場:富士フイルムフォトサロン東京
http://fujifilmsquare.jp/photosalon/tokyo/s2/17092202.html