横内 香子 写真展「faith」

レポート / 2017年10月24日

房総のまばゆい光を放つ優しい自然!

ギャラリー蒼穹舎は新宿御苑前のビル3階にある小さなギャラリー兼、写真関連書の専門書店です。
中に入るとホワイトキューブの壁に、少し大きめのA2サイズにプリントされた作品16点が並びます。写っているのは千葉・房総の自然です。点数を絞って余白をもたせた展示で、すっきりした印象と、作品の温かい雰囲気が伝わってきます。

DMに使われている、植物越しに写るボートの写真(左)と、ハイキーで優しい色合いに切り取った八重桜の写真(右)の前で、横内さん。

写真作家の横内香子さんは、自身の身の回りのヒトや自然、モノなどを対象に作品づくりをしています。これまでにボクシングのシリーズ、上総(かずさ)のシリーズなど、毎年のように作品を発表してきました。

今回の写真展「faith」は、「上総」シリーズから派生した一つです。きっかけは6年前、環境の良いところに住みたいと、長年住み慣れた都内から房総へ夫婦で移住。横内さんにとって、かつて「上総国(かずさのくに)」と呼ばれた地域は、見るものすべてが目新しく感じたそうです。

手に持っているのは「上総」シリーズとして3回開催した写真展の作品をまとめた写真集。今回の作品とは様相が異なり、房総で暮らす中で身の回りにあるモノを撮っています。

「房総は陽射しが強く空気が澄んでいるため、目に映る色がとてもきれいです。その眩しさと色彩を描写するために、絞りを開放しハイキーで撮りました。さらに手前の物体をボカすことで、形を曖昧にし色味だけを滲ませています。ピントがぴったりと合った時に、自分の想像以上の美しい世界が生まれるんです!」

タイトルの「faith」とは「信じる」という意味。横内さんは、目に見えないモノの存在を信じ、写真で表現したいと考えました。モノにはモノの、自然には自然の、生き物には生き物の美しさがある。それを拾いあげるのが作家としての自分の役割だと、横内さんは言います。

「こういう風に見てほしいなという房総の自然や光を表現しました。一枚の作品の中に見どころがいっぱいあります。じっくり見ていただき、さまざまなイメージをわかせてみてください」

自身を「転がる石のよう」と表現するほど、次々にアイデアが出てくるという横内さん。ハイキーの柔らかい描写で切り取られた房総の自然や光を感じてみたい方は、ぜひ会場へ足をお運びください。

房総の海を写した作品。硬質な質感の岩礁に、強い陽射しを浴びた波が打ちつけ、メタリックな輝きを放っているのが印象的。

右端にあるのは、八重桜の影を写した作品です。影を切り取ることで、目に見えないものを表現。八重桜の枠を超えて、多様なイメージがふくらみます。

【横内 香子 写真展「faith」】
会期:2017年10月16日(月)~10月29日(日)
13:00~19:00
会場:ギャラリー蒼穹舎
http://www.sokyusha.com/gallery/20171016_yokouchi.html