山口 保 写真展「採石場『跡』」

レポート / 2017年11月2日

人の猛威を感じながらも、自然や遥かなる時の流れを感じる採石場「跡」!

山口さんの映し出す岩肌の精緻さや存在感に圧倒されます。会場にて。

20年ほど「岩」をテーマに作品づくりをしているという、写真家の山口保さん。形態に惹かれ、岩礁海岸などを撮ってきました。写真集『海片』『時軸』を出版したことで、何億年もの時を体現する岩をテーマにした作品づくりは一区切りついたそう。一方で、資源対象として岩石を採掘された岩盤跡と、人間の痕跡を残しつつ風化していく自然の姿に風情を感じ、採掘場跡を新たなテーマとした作品づくりを始めたと言います。採石場とは、資源となる岩石を採掘する場所です。

会場には、山口さんが2年かけてフィルムで撮影した、兵庫、栃木、茨城、和歌山の採石場「跡」を大きく引き伸ばした作品が並びます。
驚くのはその迫力です。人間により不自然に削り取られた岩肌をさらしたまま放置された岩壁が、年月を経て次第に草木で覆われながら再び悠久の時の流れに身を置く姿を見ると、何とも言えない寂寞とした思いに駆られます。

左から、和歌山県日高町由良町白崎海岸、栃木県佐野市葛生地区、栃木県宇都宮市大谷町。

「人間の想いの痕を残しながら、風化していく姿に風情を感じました。廃墟にも似ていますね。岩との対話を通して、遥かな時間の流れや、宇宙的な地球の律動を考えます。実は、豊富な資源と言われている石灰石も、あと200〜300年しかもたないと言われています。何千万年、何億年とかけてできた岩を、人間はたった数百年で使い果たしてしまう。人間の経済活動のものすごさを感じます。採石のための破砕により自然は破壊されますが、自然は無くなりません。人の営みにより従来の姿を変えた採石場「跡」の前に立つと、自然の叫びが聞こえる気がするのです」

これからも地質学的なテーマを大切に、大地の変化を収めた作品づくりをしていきたいと話す山口さん。「岩」を通して時間の流れを感じてみたい方、採石場「跡」に興味のある方は、ぜひ会場へ足をお運びください。

フレームに額装された作品は、また違った岩肌の見え方が。岩の断面などから、まさに自然の叫び声が聞こえる気がします。

【山口 保 写真展「採石場『跡』」】
会期:2017年10月30日(月)~11月5日(日)
12:00~19:00
会場:Place M
http://www.placem.com/schedule/2017/20171030/171030.html