甲賀 民人 写真展「次の街」

レポート / 2017年11月3日

「自分」の存在を消すことで、シンプルながら豊かな世界観を表現!

「看板に光が差し込む様子に思わすシャッターを切ったのが、右上の写真。現像すると、看板の質感などが何とも言えない世界観を出していて…」と作品について話す甲賀さん。

甲賀民人さんが写真を始めたのは20代半ばから。書店で見つけた海外の写真集がきっかけで写真に興味を持ち、森山大道氏への憧れから「PlaceM 夜の写真学校」などで写真を学んだそうです。
今回の写真展「次の街」は、街のスナップをおさめた第二弾。「東海道五十三次」をヒントに、東京〜名古屋間の行ったことのない街をピックアップし、次の街から次の街へと巡りながら撮影したもの。
会場に展示されているのは、21点のプリント作品と、過去展示「雪街」のスライド作品です。駅周辺の少し寂れた雰囲気、雑然とした印象の飲み屋街、スナックの名前が並んだ看板、商店街の日常など。どの作品もシンプルな構成ながら、それぞれの街の独特な世界観が豊かに表現されています。

森山大道氏への憧れから、街のスナップをテーマに撮影をしている甲賀さん。どの作品も、それぞれの街の味を感じます。

「星野道夫さんの小説『旅をする木』に、“情報がきわめて少ない世界がもつ豊かさ”という一文があります。ほんの一行ですが、僕の表現したいものにとても近かった。限りなく『自分』の存在を削ぎ落としたら、どんな作品になるんだろう。そういう写真を見たくて、写真を撮り続けています。被写体に初めて訪れる場所を選ぶのも、『自分』が入らないように。次の街から次の街へと場所を移しながら、淡々と撮影しています」

100%自分の存在を削ぐのは難しいんですけどね…と、補足しつつ、次は東北方面や西日本方面などへ行きたいと意欲を話してくれました。
シンプルな作品がもつ豊かな世界観や、甲賀さんの作品に興味を持った方は、ぜひ会場へ足をお運びください。

シンプルな画面構成ですが、その街の様子が伝わってくる豊かな作品。2017年1月から6月にかけ、仕事が休みの日を使って撮影旅を繰り返したそう。「街につくと、まず飲屋街を目指して歩きます(笑)。雑っぽいところが好きなんです」と甲賀さん。左端の写真は、まさに地方の飲屋街!

写真中央から少し左の作品はDMにも使われた一枚。伊勢崎町で撮った作品で、恐竜のオブジェがインパクト大です! 奥には、半地下の展示スペースがあり、プリント作品の他に、2016年にコニカミノルタで展示した「雪街」の作品がスライドで流れています。

【甲賀民人 写真展「次の街」】
会期:2017年11月1日(水)〜11月6日(月)
11:00~19:00(最終日は17:00まで)
会場:America-Bashi Gallery(会期中無休)
http://americabashigallery.com/exhibitions/#exhib_1957