島津 真紀 写真展「箱信 post box―made in Hong Kong」

レポート / 2017年12月14日

個性的な箱信から伝わる香港の魅力!

会場入口には、箱信の実物が掲示されています。ちなみに島津さんが着けているネックレスは、箱信をデザインしたもの。箱信への愛が伝わってきます。

金融、グルメ、ショッピングなど華やかな発展をする香港。しかし細い路地に一歩入ると雑然とした下町が存在する。混沌とした町の魅力に惹かれた島津真紀さん。仕事で香港を訪れる度に路地裏などを撮ってまわっているそうです。その中で目に着いたのが、今回の写真展の題材である「箱信」(ポスト)です。50〜60年前に手作りされたブリキ製の箱信が、ボロボロになりながらも現役で使われているのだそう。
島津さんは香港だけでなく、隣国のマカオまで足を伸ばし、3年をかけて総勢1,000個以上の箱信を撮影。その中から厳選した107点の箱信が会場に展示されています。作品を見ると、ペンキを塗った箱信や雨ざらしでボロボロになった箱信、なぜかハンガーの掛かった箱信や、仏像に添える線香が並んでいるなど、さまざまな表情があるのが分かります。

「箱信があるのは、人が住んでいる証しです。鍵を付けたり、色を塗って主張したり、使っている人の個性が出ています。個人宅や集合住宅、店舗でも違いがある。生活に役立っていて、なおかつ個性があって素敵なものですね。今回プリントしたものを展示し向き合うことで、撮影時のことがよみがえってきました。これだけ面白いものがあることを、ぜひ皆さんに知っていただきたいです」。

会場の壁4面のうち2面は、ノンフレームのパネル作品を壁いっぱいにランダムに配置した展示。残り2面は島津さんにとって思い入れの強い9点の作品が、額装されて整然と並べられています。二極化した展示の対比は、発展と混沌が併存する香港の雰囲気を表現しているようにも感じます。

今後は時間をかけて丁寧に香港のストリートを撮影していきたいと、島津さんは抱負を語ってくれました。期間中は在廊しているそうなので、香港の箱信事情やエネルギーを感じたい方、グルメやトラム(路面電車)など香港の魅力について話を聞いてみたい方は、ぜひ会場へ足をお運びください。

入口すぐの展示の様子。今は製造されていないブリキ製の箱信を苦労して手に入れたと嬉しそうに話す島津さん。会場の四隅には、香港の風景を実寸大に引き延ばした作品が展示されています。前に立つと路地裏に迷い込んだような感覚になると、来廊者にも人気だそう。箱信の面白さだけでなく、箱信を取り巻く街の雰囲気から、香港の魅力が伝わってきます。

壁一面にランダムに展示。ごった返した様が見ていて楽しく、特に経年変化をした箱信は味があって面白い。島津さんがもともと撮り続けている配管と横並びで写っている箱信などもあり、1点1点を見ていくとさまざまな発見があります。

入口の記帳台には、箱信をデザインしたペン立てや、香港グッズがディスプレーされています。島津さんの作品集なども販売されているので、興味のある方はお手にとってみてください。

【島津 真紀 写真展「箱信 post box―made in Hong Kong」】
会期:2017年12月12日(火)〜12月17日(日)
12:00~19:00(最終日は16:00まで)
会場:Roonee 247 fine arts(月曜休廊)
http://www.roonee.jp/exhibition/room2/20171126190816