石川 幸史 写真展「The changing same」

レポート / 2018年10月30日

当たり前の景色に潜む類似性や関係性に気づくことのできる展示

Alt_Mediumは写真などアート作品を中心に、レンタルによる展示と企画展をバランス良く行っているオルタナティブスペース&ギャラリーです。

石川幸史さんは、常に写真というメディアの特性やカメラやレンズの構造を意識して撮影することを心がけている石川在住の写真家です。自分の外側の世界の見聞を広めたいとの思いから国内外を旅して廻ったそう。その際に親から譲り受けた古い一眼レフで撮影するうちに写真というメディアに興味を持ったと言います。

今回展示されているのは、2017年より東京郊外に広がる山間部一帯をロードトリップしながら記録していくプロジェクトの第一弾です。
乱開発で荒廃した鉱山跡地、時代から取り残されたバブル期の遺物など、東京郊外に広がる風景の中に、アメリカドキュメンタリー風の批評性が共通項として含まれているのに気づきます。

「撮影や編集にあえてアメリカの伝統的な写真の系譜が持つ形式や批評性を踏襲することで、アイロニカルに提示しています。グローバルとローカルの間にある差異や類似を見出したり、ドキュメンタリーとフィクションの曖昧な境界について考察できればと考えています」

会場には、火山などの得意な地質的特徴を持つ日本の土地に不意に現れるアメリカ的なイメージが重なった世界を切り取った26点の展示作品と、ブックファイルにまとめられた作品を見ることができます。
Alt_Mediumディレクターの白濱さんは「2017年から撮り始めたプロジェクトであるにもかかわらず、よくこれだけの被写体を見つけてきたなと思います。どの作品も時間の経過や事後性があり、石川さんらしい皮肉とユーモアのある作品ばかり」と説明してくれました。

石川さんの作品に興味のある方は、ぜひ会場へ足をお運びください。身近に存在する意外な発見や驚きに出会えるのではないでしょうか。

【石川 幸史 写真展「The changing same」】
会期:2018年10月25日(木)~11月6日(火)
12:00~20:00(最終日は17:00まで)
会場:Alt_Medium(水曜日休廊)
http://altmedium.jp/

石川幸史さんのWebサイト
http://koji-ishikawa.com/site/home.html