田ノ岡 哲哉 写真展「華宇宙 ー夢 想 花ー Vol.16」

レポート / 2018年11月14日

とろけるような柔らかな輪郭と幻想的な色彩をまとった「花」の世界

ギャラリーの入口。カフェのような外観が素敵です。

青山一丁目駅から裏通りを入った先にあるギャラリー2104は、緑に囲まれた素敵なギャラリーです。テラスを通り抜けて会場内に入ると一面に幻想的な作品32点が並んでいます。
写っているのは、バラ、ポピー、コスモス、タンポポ、アジサイ、カスミソウ、カラー、マーガレット、ジャスミン、サギソウ、ヤマボウシなど。とろけるように柔らかな輪郭と幻想的な色彩をまとった花々は和やかで、見ているだけで心身がほぐれていく気がします。

田ノ岡哲哉さんは「フォトアート華宇宙」という一つの世界観を創り出している写真家です。被写体に使われるのは主に「花」ですが、植物や木の実、野菜、動物といった身近な素材も使います。当初は花の魅力をストレートに表現する作風でしたが、何年も撮り続けるうちにソフトで繊細な今の表現になっていったそうです。

「作品づくりの良さは、自由な世界を表現できること。いつも夢中でつくっています。僕にとって大事なのは、ひらめきが出るまでの助走部分。花を前にアレコレとやりながらどんどん撮っていく。そうやって撮っている途中に、ふと計算を超えたものが写ります。その瞬間は楽しいですし、何年撮っていても感動しますね」

経験を積むとある程度は計算して撮れますが、実は計算を超えたものが作品になるのだと、田ノ岡さん。常に心にあるのは「何を表現するか」ということ。コンセプトやイメージをもとに、メインのモチーフに水や空といった別の素材を組み合わせたり、色を変化させたりしていくことで、新しいメッセージを伝えることができるのだと教えてくれました。

「一生の骨格は若い頃にできあがる。それをいかに発展させていくかが大切。花というテーマで一つ貫いてきたものがあるのが僕の強み」と田ノ岡さん。

田ノ岡さんは毎年この時期にギャラリー2104にてフォトアートの展示販売をしているそうで、今回が16回目。写真展のたびに新しい発見があり、新たなイメージが生まれるとのこと。その自分の中のイメージがなくならない限り、これからも作品をつくり続けたいと、展望を話してくれました。
ぜひ会場へ足を運び、華やかで幻想的な世界をお楽しみください。

写真教室や、写真集『四季の花』シリーズ(日本カメラ)の制作などで忙しい中、こうして写真展を開く理由について、「写真展って皆さん自由に感想を言ってくれるでしょ(笑)。でもそれがきっかけで、新しいことに気づかされ、次のイメージが生まれるんだよね」と田ノ岡さん。

会場では、32点の作品が展示販売されているほか、ポストカードやカレンダー、写真集が販売されています。取材中も多くのファンの方が楽しそうに選び、買い求めていました。

会場の一角には少しビビッドな表現の作品や、コラージュ的な作品も展示販売されています。「花そのものを写すのではなくイメージを表現している。かといってモチーフが花だと伝わらないのも良くないから、兼ね合いが難しいんだ」と、田ノ岡さん。

【田ノ岡 哲哉 写真展「華宇宙 ー夢 想 花ー Vol.16」】
会期:2018年11月13日(火)〜11月18日(日)
11:00~19:00(最終日は17:00まで)
会場:ギャラリー2104
http://100wat.main.jp/gallery.html

田ノ岡哲哉さんのWebサイト
http://www.hanauchu.sakura.ne.jp/