～山によって違う景色の豊かさを感じる、ドラマチックな光景～

新型コロナウイルス感染拡大防止のため休館されていた、ニコンプラザ新宿 THE GALLERYが6月30日から再開され、当初3月の予定だった「天と地の間に ～北アルプス 鹿島槍ヶ岳・五竜岳～」にお邪魔してきました。

ニコンが展開するミラーレス一眼「Zシリーズ」の企画展としての本写真展は、北アルプス～後立山連峰を撮り続ける山岳写真家 菊池さんの撮り下ろし作品が展示されています。完成度の高い鹿島槍ヶ岳・五竜岳の作品からは、北アルプスに15座ある百名山の中でも、常にランキング上位に入る魅力のほどが窺えます。

―白馬の写真で有名な菊池さんですが、今回の被写体を決められたきっかけなど教えてください。

2018年12月にニコンからの依頼で企画展をすることが決まったのですが、テーマはお任せということで、白馬岳を始めとした広範囲を撮っている中で、いつか日の目を当てたいと思っていた鹿島槍ヶ岳、五竜岳をテーマに決めました。写真集も合わせて作りたいと思い、どうせなら大きい判型で作品を見せたいなと。最終的にはA4変形のサイズになりました。今まで出版された写真集は横開きが多いこともあり、はじめての縦長サイズにすることで差別化もできたのではと思います。

―写真展ならではのダイナミックかつスケール感のある作品が並んでいますね。

“写真集”は花火大会を自宅で見ることができるテレビのような、どこでもいつでも見ることができる役割があると思っていますが、“写真展”は花火大会で実際に見る打ち上げ花火のようなものと思っています。
ポイントになる写真はサイズを大きくするなど変化をつけ、山好きの人にはまた登ってみたい、詳しくない人にも山の上に広がる世界を感じてもらいたい、ということを考えてのセレクトやプリントを行い、会場で見てもらうということをかなり意識した展示にしています。
今回はゴツゴツとした山肌や柔らかさのあるフォルムといった、手に取れそうな触感を感じてもらえるよう、山岳写真の王道とも言うべきストレートな姿を捉えた作品に仕上げました。

―撮影のビジョンをある程度組み立てて山に行かれると思いますが、それを超えるような予期せぬ一枚が撮れることなどはありますか？

山は計算しきれない部分が多く、雲海ひとつ僕の力では起こせませんから（笑）必ずしも思っていた通りの写真が撮れるわけではないところも、山の面白さの一つです。非日常が山にはあり、標高が高いからこそ、ありふれた花が地上で見るよりも驚くほど鮮やかなこともあります。何十年山と向き合っていても未だに驚きの連続で、一人で自然を相手にしていると五感が発達するようにも感じられます。

―新たな発見や新鮮な感動があることこそ、長年山を撮り続ける原動力になっているのでしょうね。

それは大きいと思います。あと写真家にとって一番力になるのは、やはり多くの方に写真を見てもらうこと。良いも悪いも含めて、見てもらって直接感想をいただけるのは、何よりの励みになります。だからこそ、皆さんには写真展に来ていただき、写真を生で見ることで得られる刺激をぜひ体感して欲しいと思います。

新型コロナウイルスの感染拡大による未曾有の事態の今だからこそ、より自然の中における自分たちの小ささを感じ、普遍的なものと言える山の美しさに心奪われます。
「山にいると人間は自然の中での一部分であり、生かされているものということをあらためて感じさせられます」と菊池さん。ぜひ会場へ足をお運びください。

※ニコンプラザ新宿の入館の際には、マスク着用と体温チェックの実施がされています。混雑状況に応じて入場制限もされるそうですので、余裕をもってお出かけください。

【菊池 哲男 写真展「天と地の間に ～北アルプス 鹿島槍ヶ岳・五竜岳～」】
会場：ニコンプラザ新宿 THE GALLERY（日曜休館）
会期：2020年6月30日(火) 〜 2020年7月20日(月)
10:30〜18:30（最終日15:00まで）

【菊池 哲男 写真展「天と地の間に ～北アルプス 鹿島槍ヶ岳・五竜岳～」】
会場：ニコンプラザ大阪 THE GALLERY（日曜休館）
会期：2020年7月30日(木) 〜 2020年8月8日(土)　
10:30〜18:30（最終日15:00まで）
https://www.nikon-image.com/activity/exhibition/thegallery/events/201706/20200630.html

菊池さんのWebサイト
https://www.t-kikuchi.com/