Kazunori Nagashima 写真展「soliloquy -独白の空間-」

レポート / 2018年8月1日

~様々な感覚で感じることができる、女性の感情の世界~

会場にて、長嶋さん

銀座の喧噪の中ギャラリーに足を踏み入れると、真夏の蒸し暑さからまるで違う世界に迷い込んだような静謐な空間が広がっています。

ステートメント

横浜の西洋館で撮影されたというこの作品には、一人の女性が登場しています。
作品からこの女性の秘められた内面性を感じるうちに、徐々に自分の鏡面のようにも感じられ、自分とこの女性の二つの意識の世界を行ったり来たりの感覚におちいり、逃れられないような錯覚を覚えました。

木製のフレームに展示された作品

長嶋さんにこのモデルの女性、作品についてなどお話を伺いました。
「モデルの女性に関して言えば、"成熟している"ということが条件でした。この架空の女性像はこれからも成長して様々なフェーズを迎えるはずですが、この作品に登場する時点で、すでに成熟している姿が写真に現れることが必要だと考えていました」。

ドアノブを回す手、タイルを裸足で歩く、床に寝転ぶ、ドアにもたれかかる、椅子に座り帽子で顔を隠す……。女性の様々なポーズを見ることで感じること。会場の中心に吊るされた大きなファブリックにプリントされた作品、木製の箱型の枠の中に展示されている作品、多彩な展示方法でも五感が刺激される写真展です。

女性の衣服をイメージしたというサラサラとした素材のファブリック

ファブリックを通して透けてみえる作品が幻想的にも感じます

「見てくださる方が感覚的に共感できるように、いろいろな質感のものにモデルさんには触れてもらっています。木製のフレームについては、空間に広がりをもって皆さまにご覧いただきたい」とのこと。歌舞伎座で大道具の製作に携わっていたという経歴が活かされた、長嶋さんならではの展示方法です。
「集大成というと大袈裟だけれど、自分の今までやってきたことの自己紹介を兼ねています」。

「今まで作品展や個展をするタイプの作家ではなかったのですが、今回やってみて非常に楽しいです。まったく知らない方にご覧いただいて、いろいろな感想を伺うということ。自分の考えたアイデアが写真撮影とまったく違ったものとして具現化できることは、本当にうれしいです!またチャンスがあればチャレンジしてみたい」と、今後の作品展への意欲もお聞きしました。
独自の視点でつくられた繊細な美しさをもつ作品の数々。ぜひ会場へ足をお運びください。

【Kazunori Nagashima 写真展「soliloquy -独白の空間-」】
会期:2018年7月27日(金)~8月9日(木)
11:00~19:00
会場:ソニーイメージングギャラリー銀座
https://www.sony.co.jp/united/imaging/gallery/detail/180727/