8月の暑い一日。場所は小さな湖の湖畔。
写真家とモデルがそこで描いたのは、いわば、写真を仲立ちとした、人どうしの、純粋なやりとりのようなものだ。写真家は日頃、多くのタレントやモデルに出会っている。しかしマリアンナに動かされたのは、そのみずみずしさ、透明感あふれる美しさゆえではない。
生まれや年齢や性差をよそに、人の何かが別の人の何かを揺さぶることがある。家族でも友人でも恋人でもない。その名状し難い「やりとり」のようなもの。それを促すのが写真という仕組みであり、ある特別な日、場所がそこにまるで必然があったかのように交わって行った。
「と或る年のと或る日にどうして僕はマリアンナという人と山梨の湖畔にいるのだろうか。人と人が出 会いともに時間や空間を共有するということは不思議なことだと思った。それはいつか記憶となって 心の中に残るのだろうか」(作者のことばから抜粋)
蓮井さんとマリアンナさんの、カメラを通して生まれたやりとりを描いた作品を拝見して、人と人とのつながりに、言葉は必ずしもいるものではないということに気づかされます。それは普段目で見えるものに惑わされがちな私たちに、心が感じることの大切さを、そっと教えてくれているよう。心地良い余韻が残る作品の数々、ぜひご覧ください。
【蓮井 元彦 写真展「マリアンナ」】
会期:2021年5月18日(火) ~ 2021年5月30日(日)
12:00~19:00(日曜17:00迄)
会場:Jam Photo Gallery(月曜定休)
https://www.jamphotogallery.com/
蓮井さん Webサイト
https://motohikohasui.com/