伏見 行介 写真展「Toward the Landscape ―見える時、見えない時―」

レポート / 2017年10月17日

直感のおもむくままに、自分の琴線に触れた「風景」を撮影!

「人間は気分によって世の中が楽しく思えたり、つまんなく思える。毎日同じ道を通っていても、見えるものや感じるものは毎日違うわけです。ここにある作品は、自分が何を見て何を感じているかを確認するものだと考えています。光も景色も、全てが偶然の出会いです」

作品の前で。人物作品の写真展は何度も経験していますが、風景作品の写真展は初めてだという伏見さん。馴染みのギャラリーではないところで、自分の力量を試してみたかったのだそう。チャレンジング精神が旺盛です!

広告関係の写真家としては珍しく、いつもカメラを持ち歩き、気になった景色を撮影するのだそう。「テーマを決めて一生懸命撮っているわけではありません。気分によって景色が飛び込んでくる瞬間がある。それを写しています。だから、撮れる時と撮れない時があります」。

“Toward a Social Landscape”(社会的風景に向かって)の影響を受けているという写真家の伏見行介さん。毎日カメラを持ち歩き、広告写真の仕事の合間や日常生活の中で、自分の琴線に触れた風景を写しているそうです。
会場に展示されているのは、十数年にわたって撮りためた中から厳選した50点の作品です。仕事の打ち合わせ中に向かいのビルの窓からひょっこり足が出て来た瞬間。赤信号で前に止まった車に映り込んだ空を見つけた瞬間。仕事で夜景待ちをしているときに高層ビルが夕日で真っ赤に染まった瞬間。そうした一瞬が、伏見さんのファインダーを通すことで特別な風景に。構図や光の捉え方など、広告の世界で活躍してきた伏見さんならではのセンスが光ります。

「これが僕の視点なんでしょうね。でも作品づくりで効果を付ける時はアナログの範囲に限定しています。レンズにフィルターを入れて色味を強調したり、ワセリンやリップを塗ってふわっとさせたり。後から処理すると何でもできちゃいますから。展示では全ての写真をイーブンに配置しています。見る方の感性で『私はこれが好き』と感じてもらえると嬉しいです」

それぞれの目で自由に感じてほしいと話す伏見さん。作者の意図が入らないように、作品は同じサイズにプリントされ、同じフレームで並べられています。
伏見さんがの写真家としての“熟成”した経験や感性から生まれた作品には、せわしない日常の中で多くの人が見過ごしている何かがあるかもしれません。少し視点を変えた一瞬の風景に興味のある方は、ぜひ足をお運びください。

10月20日(金)17:30からは、フォトエディターで前CAPA編集長の石田立雄さんとのギャラリートークも開催されます。

場所柄、海外からの観光客も多く来廊されます。「自分の熟成度合いを感じるためにも、これからも心に響いた風景写真を撮っていきたいです」と伏見さん。

【伏見 行介 写真展「Toward the Landscape ―見える時、見えない時―」】
会期:2017年10月13日(金)~10月26日(木)
11:00~19:00
会場:ソニーイメージングギャラリー
https://www.sony.co.jp/united/imaging/gallery/detail/171013/