山口史男 写真展「晴れた日」

山口 史男
2026/02/24 ~ 2026/03/08
京都写真美術館 ギャラリー・ジャパネスク
京都写真美術館 ギャラリー・ジャパネスク 2階展示室にて、2026年2月24日(火)から3月8日(日)まで、山口史男 写真展「晴れた日」を開催します。
※最終日は17:00まで
空気が違うと感じたことがあった。北欧のフィンランドを中心にノルウェーやスウェーデンの木造民家を訪ねて、森の中の村、フィヨルドのほとりなどをレンタカーで走り回り写真撮影をしていた時、建物や壁の輪郭線がこれまで経験したことのないほど鮮明に見えた。ファインダーを覗きながら、何かが違っている、とくによく「晴れた日」には、建物が浮き上がってくる、または外形や窓が画面に刻印されたようだと感じた。
北欧に暮らす人々には、生まれた時からの見慣れた光景なのだろうが、九州から広島の沿岸部で生活してきた私には、不思議な体験だった。学生時代に読んだ本の著者が、夏の乾ききったギリシアを旅し、晴天のもとで古代ギリシアのパルテノン神殿を見上げると、青空に白い大理石の柱が見たこともないほどはっきりと見えたと記していたことを思い出した。空気中の湿度が高いと含まれる水分によって、輪郭線がわずかにゆがみ、誇張していえばぼやけて見え、それが人々の思考にも影響を与えるとも書いていた。日本の風景がどこか抒情的なのは、海洋に囲まれ、たえず海から供給される水分が、雨・霧・雪に変わり、年中降り注いでいて、それは私たちの思考にかかわっていると言っていた。
日本にいる時、写真を撮っている時も、空気のことなど意識したことはなかったが、乾ききった初春のフィンランドを旅し写真を撮っていると、私のなかに潜んでいる日本で育った感覚に気づかされた。異国を旅するとそのような発見があり、その不思議さが私を旅に誘うと思うこともあり、また異国の人々が日本で、自分のなかにあるアイデンティティを発見することもあるに違いない。
「見ること」と「発見すること」の間にも違いがあり、スケッチブックに眼で見ている物を描いている時、よく経験することだが、写真を撮っている時にも感じることがある。
今回は、北欧で撮影した写真から「晴れた日」を感じるものを選んで33点を展示しました。
作品写真:クリックで拡大








