渡邉 智之 写真展「ホンドギツネって知ってる? ~散歩道に潜む野生~」

レポート / 2017年11月29日

人間の側に暮らす、野生のホンドギツネ!

「キツネと聞くと、多くの人が北海道の自然に暮らすキタキツネを思い浮かべるかもしれません。しかし、本州にも野生のキツネはいます」。そう話す渡邉智之さんは、ホンドギツネを撮るために写真家の道へ進んだそう。

「コギツネたちは好奇心が強く、それぞれに個性があります。4年にわたりキツネの成長や暮らしを撮影しているうちに僕のことを見慣れたのか、コギツネが僕の横にちょこんと座って、一緒に夕日を見たこともあります」と渡邉さん。背後の作品は野生を曝した夜のキツネ。

人間のすぐ側で暮らすホンドギツネは、警戒心が強くて臆病な性格のため、200メートル先の足音を聞いて身を隠してしまうため、通常は人の目につきません。渡邉さんは4年間にわたり、山梨県甲府市でホンドギツネの姿を撮影してきました。

会場には、ホンドギツネの姿50点がコマ送りのように展示されています。
順に見ていくと、前半は太陽の下で暮らす親子キツネ姿や、ヤンチャに駆け回るキツネの兄弟たちの成長していく姿など、自然の中で暮らすキツネのほのぼのとした作品を見ることができます。
しかし後半になると一転、キツネたちの夜間の姿を写した現実的な作品が並びます。野生を曝し、ギラギラと光る瞳でじっとカメラを睨む姿は、彼らの住処を脅かす人間への威嚇のようにも、また隣りに暮らす人間の行動や生活を観察しているようにも感じられ、ドキリとさせられます。

「ホンドギツネは、山奥や自然の中ではなく、僕たちの生活のすぐ隣りで暮らしています。童話や信仰にもなるほど、大昔からキツネと人間はお互いに関わりあいながら生きてきました。しかし近年は、人間の生活がキツネたちの暮らしを脅かしています。人間と野生動物が共存していくためには、相手のことを知ることが一番です。この写真展で皆さんがキツネに興味を持ち、野生動物との共存について考えるきっかけになればと思います」

現在、渡邉さんは岐阜県を拠点に活動していて、キツネ以外にタヌキなどの他の野生動物も撮影しているそう。環境の変化に合わせてキツネたちの生態も変化するそうで、まだまだキツネへの興味は尽きないようです。

12月1日(金)、2日(土)の両日にわたり、14:00からギャラリートークが開催されるということですので、人のすぐ側に暮らす野生のキツネの姿に興味を持たれた方は、ぜひ会場へ足をお運びください。

会場では展示作品のプリントとポストカードが販売されています。人間が暮らすすぐ側で生きるホンドギツネの可愛く力強い姿を楽しめます。

【渡邉 智之 写真展「ホンドギツネって知ってる? ~散歩道に潜む野生~」】
会期:2017年11月28日(火)~12月4日(月)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会場:THE GALLERY 新宿 2(日曜休館)
http://www.nikon-image.com/…/events/201706/20171128_shinjuk…

渡邉智之 オフィシャルWebサイト
http://wtnbtmyk47.wixsite.com/watanabetomoyuki