池野 詩織 写真展「オーヴ」

レポート / 2018年11月2日

目に見えない現象や感情が映り込んだSF空間のような展示

会場にて池野さん。「10代の頃から自分の写真作品をオリジナルZINE(ジン)にまとめていました。自分が何者かという問いに対して『写真をやってます』と言葉にしたことで写真家としての道がはっきり見えてきました」。

池野詩織さんは、音楽やファッションなどのシーンで活躍している若手写真家です。2012年のアートブックフェアへオリジナルZINE(ジン)を出展したことを機に、本格的に写真家の道へと踏み出したそうです。今回の写真展では、9月に開催されたNYアートブックフェアで発表した初の写真集『オーヴ』の収録作品から、32点が並びます。

「今の私の集大成。一度まとめることで区切りをつけたいと考えました。オーヴとは、球体を意味する〈Orb〉、心霊的な意味を持つ写真用語の玉響現象〈オーブ〉、響きの似ているLOVE(ラヴ)などをあわせた造語です。意図しないものや現象、あるいは目に見えない感情が映り込んでいるのが面白く、SFテイストのものをセレクトしました」

画面いっぱいに散らばる玉響や、くすっと笑えるユニークな作品など、これまで発表してきた作品では見せたことのない世界観は、池野さんにとってある種の挑戦でもあるそう。今の自分にはこう見えていることを展示で伝えることができて嬉しいと表情をほころばせていました。

会場には、額装された28点の作品が壁に並ぶほか、透明アクリルパネルや大きくプリントされた作品がカーテンのように天井から吊るされているなど、空間全体を使った立体的な展示が特徴。まるでSF世界に入り込むような感覚を楽しめます。

会場内に吊るされているアクリルパネルとインクジェットの大きなプリントの間の空間に立つと、異世界に迷いこんだような雰囲気に。

「展示作品は心霊的なものではありません。
カメラが捉えた偶然の現象です」と池野さん。

今後は日常的な作品づくりも続けながら、被写体を演出した作品づくりなど、新しいことにどんどん挑戦していきたいと、今後の展望を語ってくれた池野さん。
池野さんの作品に興味のある方は、ぜひ会場へ足をお運びください。

【池野 詩織 写真展「オーヴ」】
会期:2018年10月26日(金)~11月13日(火)
平日:14:00~20:00(休館日:水、木)
土日祝:12:00~18:00
会場:gallery commune
http://www.ccommunee.com/shioriikenoorb2018ex/